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物流施設の緑化のあり方を検討▼実践ロジ・第一回グリーンロジスティクス研究部会 

2010年03月18日

 実践ロジスティクス研究会(鈴木邦成会長)は3月17日、第一回グリーンロジスティクス研究部会を開催した。
 同研究会は12年にわたり、物流実務の研究活動を行ってきた。物流の実務に精通した人が集まり、グリーン物流、3PL、物流改善、トヨタ式改善、物流不動産などをテーマに研究を行っている。環境法規制が整備され、CO2削減や廃棄物処理、リサイクル、静脈物流などグリーンロジスティクスへの役割が大きくなるなかで、グリーンロジスティクス研究部会を設立。今回、一回目の開催となった。
 ▼LPMからみたマーケットリサーチの役割を解説
 ここではまずトーウンの木村博之氏よりワンポイントアドバイスとして、「ロジスティクスプロパティマネジメントが行わなければならないマーケットリサーチの役割」が解説。マーケットリサーチ業務は、①近隣施設との比較、②中長期での収支試算―の2つがあり、この2つの要素からみていけるかどうかがマーケットリサーチ能力を左右するとした。


木村氏
<写真・オーナー、テナント双方の代理として動くのがLPMとトーウン・木村氏>
 ▼園芸市場・市場流通だけではマイナスに
 続いて、ガーデニング、緑化アドバイザーの専門家の椿高幸氏より、「花の流通と新しい都市緑化の提案」との題で、大きく分けて、①園芸市場流通、②緑化のあり方の2テーマについて語られた。


椿氏
<写真・園芸流通、緑化をテーマに解説する椿氏>
 このうち園芸市場流通の解説の内容については次のとおり。
 園芸市場は1990年に大阪で行われた花博を契機に急速に拡大。ガーデニングブームが起こり99年には、市場規模は3100億円に達した。
 その後、景気の低迷期とともに、市場は落ち込み、現在は3000億円を割る中で、今後は緩やかな落ち込みをみせるとみられている。
 ガーデニングの主力ターゲットは、①50、60代の団塊シニア、女性、②経済的に豊かで生活に余裕がある、③夫婦仲がよく社交的で友達が多い-層。園芸品の店舗形態は価格、取扱量に応じて大きく、①老舗大手園芸店(価格が高く、取扱量が多い)、②ブランド園芸店(価格が高く、取扱量が少ない)、③ホームセンター・ガーデニングセンター(価格が安く、取扱量が多い)、④駅前生花店(価格が安く、取扱い量が少ない)-の4つに分かれる。
 流通は、卸売市場法に基づき、市場に入った商品は必ずセリに落とすしかない。セリにかかる時期は春に集中してしまうため(ゴールデンウィークまでの期間で年間の売上がほぼ決まってしまい、そこから取り戻すことは困難だという)、値崩れしてしまい、市場流通だけで回していくとマイナスが膨らみかねない。付加価値をいかに高めていくかが問題だという。
 ▼物流施設ならではの手軽さ、イベント性をいかに生み出していくか
 続いて、椿氏は緑化のあり方について解説した。
 椿氏は冒頭、緑化のあり方として、壁面緑化のケースをあげ、「都会の緑化方法として注目を集めていたが、維持やランニングコストの絡みから、いまだに浸透度合いが少ない」と指摘。それに対し、プランターを設置して、手軽に緑化できる「緑のカーテン」は市役所や小学校などに普及したと述べた。
 また東京のど真ん中にあるビルでは、飼育管理のしやすいサツマ畑とし、収穫期になると、屋上を開放し、小学生児童に収穫を行ってもらい、緑化にかかる維持費の削減を実現。手軽さとともに、イベント性を持たせ、地域コミュニケーションにつなげていくことが「緑化の成功の鍵」だという。
 さて椿氏は現在、校庭芝生プロジェクトに関わっているのだという。「校庭芝生プロジェクト」とは都が公立の小学校や中学校に対して、250㎡以上芝生化した場合、3000万円の補助金、年200~300万円の維持費を出すというもの。
 この補助制度、ボランティアチームがメンテを行うと維持費が満額でるのに対し、業者に任せると半減するという縛りがあるため、なかなか導入が進まないのだという。
 そこで椿氏は小学生児童に芝生の草刈方法などメンテナンスを教え、ボランティア要員に仕立てて、満額助成のもと、プロジェクトを成功させる指導を行っているのだという。
 「小学生も草刈機などは触りたくてたまらなく、率先してメンテを行う。裸足で芝生に上がって遊んだり、教育の面でもうまくいっている」と締めくくり、自身の取り組みをヒントに、物流業界での緑化を進めて欲しいと訴えた。
 小学校などの公共施設と違い、物流施設は緑化に際しては地域ボランティアをうまく活用するということは難しい。さらにいまいわれている屋上緑化1つをとっても、駐車スペースを広げ土地の有効活用のために、屋上緑化を図ろうにも強度で断念するケースも多く、物流施設の緑化の課題は山積している。
 そうした中、物流施設ならではの手軽さ、イベント性をいかに見つけていくかが、今後の緑化推進のヒントになるのではないだろうか。