滋賀県野洲市▼内陸コンテナ拠点開設 
2012年11月01日 【物流ウィークリーhttp://www.weekly-net.co.jp/】
物流コストの削減が期待できるという「内陸コンテナ拠点」。今回、阪神港の拠点が滋賀県野洲市という内陸部に開設された。大阪市、神戸市、神戸港埠頭、大阪港埠頭が共同設置した「阪神インランドコンテナデポ(滋賀)」は、3000平方メートルの敷地に20フィートコンテナ150個が保管可能で、1年間の社会実験として1日からスタートしている。同拠点の動きについて関係者に話を聞いた。
内陸コンテナ拠点のメリットは「物流コスト」の削減にある。荷主は阪神港まで行かずにコンテナの取得や返却が可能で、野洲市周辺には電機や自動車などのメーカーが集約されており、同拠点を内陸部の野洲市に置くことで、空のコンテナを阪神港に返す作業や取りにいくコスト・時間を削減できる。
作業主体の大阪港埠頭に問い合わせると、「現在、動いているコンテナ数はゼロ。施設はすぐに使えるものの、契約の関係でまだ動いていない」という。今後の展開については、「どのくらいの利用があるのか、それを調べるために実証実験を実施している。(実証実験後に)まったく使われない可能性もあれば、逆にものすごく集まるかもしれない」と説明。
なぜ野洲市に拠点を置いたかについては、「内陸の拠点として日本海側なども検討したが、荷物の発生地として野洲市が挙がった。阪神港に輸送する上で交通至便なところで、荷主や物流倉庫事業者などにヒヤリングして決めた」という。
また、神戸港埠頭も「何社かとは前向きな話をさせていただいている。しかし、今回の実証実験がどうなるかは未知数」と指摘。「実験の結果、拠点を変更する可能性もある。阪神港と中京地区とのきわどい位置にもあり、今後、そういった面も見極めていかなければならない」と説明する。
同拠点の作業を担当しているのは日本通運。現場担当者は「相手が決まれば明日にでも稼働できる。準備は整っている」と話す。同拠点を見学に来る企業・団体は多いという。
「内陸型コンテナターミナル研究会」を発足、同委員会で拠点新設に向けて動いている栃木県佐野市では、拠点が新設されれば、「通関業務を受託できるなど事業の拡大が図れる。また、保税輸送や内陸輸送の新たな需要開拓につながる」と、物流企業のメリットを挙げるものの、事業化に向けては「施設規模や事業採算性の検討、事業主体の設立、用地確保、事業計画区域の設定にはじまり、関係施設整備から輸出入業務、コンテナ輸送の効率的な運営システムの実現に至るまでの詳細計画の策定は、すべて今後の検討内容であり、多くの課題がある」とし、「現段階では、委員会で検討中としか言えない」と話している。