CBRE▼首都圏の大型物流施設、需要面積は高水準 
2013年11月01日【LNEWS】
シービーアールイー(CBRE)は10月23日、首都圏と近畿圏の2013年第3四半期の
大型マルチテナント型物流施設の市場動向を発表した。
2013年第3四半期の空室率は、対前期比で1.6ポイント上昇し、4.3%となった。
当期竣工の4棟のうち2棟は計画段階からテナントが確定し、日本最大級のロジ
ポート相模原も当初の見込みどおり約60%稼動で竣工したことで、予想よりも
空室率の上昇幅は小さかった。
今期の需要面積は2004年の調査開始以来3番目の高水準となり、特に埼玉県三郷市・
千葉県柏市エリアでは、賃料水準が比較的割安で東京中心部へのアクセスも良い
ことから需要を吸引し、まとまった募集空室はほとんど無い状態になっている。
その結果オーナーサイドが自信を深めており、賃料面では契約更改時だけでなく
新規契約時の実効賃料でもやや上昇基調で、大型開発のあった相模原・厚木エリア
でもほぼ従前の水準を維持している。
今期はスーパー、コンビニエンスストアやドラッグストアをはじめとして、
アパレル・服飾品、家具、携帯電話関連といった一般消費者向けの小売店舗
業態の需要が目立った。
物流拠点の配送見直しの動きは、日配と言われる食品・日用品から家電・
精密機器等の業種にも浸透してきている。
コスト・資産管理、配送システムの近代化、BCPなど企業によりさまざまだが、
高スペックな物件の供給が3PL会社の先進的な物流システムに活躍の場を与えて
潜在的な需要を引き出し、その成功がさらに次の需要を喚起するという好循環を
生み出している。
デベロッパーサイドでも、三井不動産、グローバル・ロジスティック・
プロパティーズ、グッドマンジャパンなどが次々に開発案件を具体化し、
第3四半期中に2015年竣工予定の計画が4件追加され、日本ロジスティクス
ファンド投資法人はJ-REITで初めての保有物件再開発事業を進行させるなど、
首都圏では物流物件開発の裾野がますます広がってきている。
2013年第4四半期竣工予定の物件について、千葉湾岸地域で競合する柏・
三郷エリアでは、入居可能な物件は現状ほとんど無いため、テナントの
引き合いは今後強まると想定されている。圏央道開通に向けて開発の
集中する相模原・厚木エリアの物件も、35-70%のテナントが決定された状況。
すでに満床となりテナント募集を終了している2014年第1四半期竣工物件も
複数伝わっており、需要の先行きは今のところ衰えが見られず、標準的な
需要量と仮定した場合でも空室率は2014年第1四半期時点で9%台にとどまると
予測している。
賃料面でも、竣工前後に賃貸条件を緩めてテナント誘致することは十分
あり得るものの、全般的には多少上向きの基調を維持すると予測される。
一方、建築コストの上昇は大きな懸念材料で、すでにプランの見直しなどにより
竣工時期を遅らせる事例が出てきており、賃料あるいは設備仕様に影響を
及ぼすことになるのかどうか、今後注視する必要がある。
なお、近畿圏でも空室率1.0%と既存物件では需給が逼迫しているため、
来年竣工予定のグッドマン堺のリーシングもかなり進んでいると考えられる。
近畿圏のマーケットでは、竣工した後では十分なスペースが確保できない懸念から、
荷主・3PL会社ともにかなり前倒しに物件選定を進める傾向が強まっている、
としている。