TKSL▼イトーヨーカ堂のネットスーパー、搬送システム構築 
2016年07月19日トーヨーカネツソリューションズ(TKSL)は、イトーヨーカ堂の「ネットスーパー西日暮里店」の高速出荷を可能にする搬送システムを構築した。
イトーヨーカ堂がネットスーパー専用店舗「ネットスーパー西日暮里店」をスタートしたのは昨年3月8日。
事業展開の空白地となっている西日暮里エリアに加え、近隣のイトーヨーカドー店舗(三ノ輪店、曳舟店、上板橋店、赤羽店)の受注対応の補完も対応するため。
従来のネットスーパーでは、リアル店舗で顧客が買い物するように従業員が商品をピックアップして、梱包・配送、大型店舗の一部に専用エリアを設けて、ピッキング・梱包・発送していた。
しかし、この方法では、リアル店舗の従業員がネットスーパーの業務を兼務する必要があり、店舗への負荷が大きく、処理量にも限界があった。
このため、都内の販売拠点となるネットスーパー専用店舗を西日暮里にオープンした。
イトーヨーカ堂としても初めての取り組みのため、サイトの構築から運用、情報システム、マテハン設備に至るまで、関係各社が全員参加するプロジェクト体制で物流の構築に挑んだ。
この中でTKSLは顧客から注文を受けた商品を短時間で効率よく出荷できるマテハンシステムの構築を担当した。
導入前、ネットスーパー専用店舗という新業態での物流構築、注文を受けてから商品発送までのリードタイム短縮、機械に不慣れな店舗作業者でも使える容易な操作性、住宅地域立地のため近隣への騒音をできるかぎり低減したいという課題があった。
イトーヨーカ堂のオムニチャンネル推進室の服部功総括マネージャー(2015年11月時点)は「グループ会社が通販センターを建築した際にTKSLに手伝ってもらったこともあり、その時の対応力と高い技術力により今回もお願いした。最も苦心したのは、前例がなく、どんな物流の設計をすればよいか。悩んでいたときに、TKSLから誘いを受け、ヨーロッパにネットスーパーのシステムを視察し、設計の過程では工場にテストラインを設置、確認し、互いに膝を交えて打ち合わせを繰り返し、一つずつ課題を解決していった」と話す。
導入後には、従来のネットスーパーの倍を超える多量受注に対応、4時間以内の短時間配送、作業者の安全性と快適性に配慮したシステムによる作業ストレスの軽減、コンベヤの騒音を抑えて周囲に配慮した環境を創出を実現した。
TKSLから導入したのは、制御システムと出荷搬送のためのコンベヤ。
ネットスーパーでは“お造り品”といわれる寿司や惣菜、ケーキなどのデリケートな商品も搬送するため、衝撃を抑えるエコロベヤ、カーブは振動が少ないベルトカーブ、上下搬送は垂直搬送コンベヤを採用し、省スペース化と搬送時の荷崩れ防止を実現した。
衛生面を考慮し、食品加工センターで使用される硬質メッキを施したローラーを採用するなど、細部までこだわった。
作業環境にも配慮し、コンベヤの巻き込み事故を防ぐためのガードレールや搬送物がない時は停止するエコロベヤで安全性を確保し、さらに、ピッキングエリアに大型ディスプレイを設置して作業の進捗を可視化した。
説明看板や制御盤の表示も分かりやすくし、ラインに異常が発生した際も、音声ガイダンスにより異常の内容を分かりやすく通知する等、店舗で働く人達がストレスなく使えるシステムにしている。
特徴的なものとしては、1階の架台上にバッファラインを設置し、配送トラックの積込みに合わせて待機したオリコンを払い出せるようにした。
バッファラインは出荷の心臓部であり、2、3階の荷揃え作業能力と1階での積込み作業能力の差を吸収し、かつ1階の荷積みエリアには出荷対象のケースのみを供給する事で、出荷エリアを省スペース化し高い生産性での出荷作業を可能とした。
導入を終えた服部氏は「西日暮里店は初めての試みといえるネットスーパー専用店舗。販売のオムニチャネル化の一環として、この新しいビジネスモデルをぜひ成功させたいと思っている。この店舗で一つ課題だったのが騒音対策。ローラーやオリコンに工夫を凝らし、建物にも防音を施して騒音を低減することができた」と言う。
さらに「今後の展開として2店舗目を出す場合も、エリアが住居地域ということもあり、全く騒音は出さない、完全防音の施設にする場合もあり得る。こういう困難な問題をクリアするためには、強いチームワークが必要。今回の設計では、TKSLと手書きの草案の段階から共に携わってきた。とてもいいチームだと思いますので、できれば今後も協力してやっていければ良いと思っている」と抱負を述べていた。
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