物流不動産ニュース

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大家さんがいいひと!! 

週末が近づくにつれ、新聞の折り込みチラシに不動産関係のものが増えてくる。賃貸物件を羅列しただけの単色刷りのものから冊子仕立てになった高級分譲マンションの広告までさまざまだが、なかでも格安賃貸物件をまとめた広告は楽しい。このような6畳一間への入居を検討しているような層が新聞を購読しているのかとう疑問はさておいて、やはり多くの間取りが載っていた方が捗るのである。妄想が。

で、妄想をより膨らませる効能を持っているのがキャッチコピー。なかでも最近特に目を引いたのが、今回のタイトルにも使わせていただいたものだ。

「大家さんがいいひと!!」

不動産物件のコピーとは一般的に、駅からの距離や築年数、日当たり、周辺環境、あるいは設備の充実などを謳うもの。要するにその物件のもっとも大きな売りは何であるかという入居検討者の問いに対する回答である。入居を検討する者はそのコピーをたよりに想像を膨らませ、検討の材料にするわけだ。だからコピーを考える不動産会社の担当者は考えに考える。この物件の最大の売りは何か、どういうコピーなら入居検討者の胸に届くだろうか、と。

それが、物件の説明を差し置いて大家さんの良い人っぷりを訴える。チラシを目にした入居検討者はあらゆる可能性を考慮に入れて、その意味するところを理解しようとするだろう。「不動産会社の担当者が大家さんのシンパ」「他にたいしてほめるべきところが無い」「何かの暗号」「大家さんがほんとうに良い人」。

不動産屋が大家のシンパである可能性については、金銭がからむ場合もあるので捨てきれない。しかしその関係が外に漏れてしまっては逆効果だ。他に褒めるところがないというケースは、もうちょっと頭使えよ、といいたい。誉めるべき点はどんな物件にだってあるはずだ。暗号説に至っては可能性の話であって検証のしようがない。とするとやはり、この大家さんはほんとうに良い人なのではないか。

立地や建物、設備に誉めるべきところがないわけではないだろう。それでもやはり、大家さんの人柄を伝えたい。この物件に入居して、大家さんの人柄に触れてほしい。不動産会社の担当者にそう思わせるだけの何かが、この大家さんにはあるのだろう。

「大家さんがいいひと」

堂々とそんなふうに宣伝されて、プレッシャーに感じる人もいるかもしれない。でもこの大家さんはきっと、すごく嬉しかったんじゃないかと思う。

 

久保純一 2017.06.20