マネーは天下のまわりもの essence(第10回) 物流マネー70兆円のゆくえ
21世紀になって我が国に最後に参入してきた物流事業者がいる。それが物流施設開発事業を手がける外資企業であった。彼らは巨額な資本を持ち、我が国の不動産を買い上げ、そして物流施設を開発して、新たな産業を創造してきた。
それまでは物流業界を構成する倉庫、運輸業と関連する情報システム、人材派遣会社などは、それほど注目を浴びることはなかった。規模も小さく収益性も低く、「実態経済を支える重要な役割」を担ってはいながらも、さほど処遇も待遇も高くなくて、若者の就職希望ランキングも決して高くなかった。
「新しく大きな倉庫を作っているだけ」と傍観されてきた倉庫開発会社が徐々にその実態が明らかになるに連れ、10年を経過したところで俄然注目を集めるようになった。
資本力と収益性の高さからだ
不動産を買い漁れるような資本はどこから来ているのか、なぜ底値で買った不動産を倉庫にすると収益力が上がるのか、様々な憶測と疑問の中で彼らは着実に橋頭堡を固めていいたのだ。
バブル以降の不動産低迷
長期金利の底値固定化
資本流動の国際化
我が国を取り巻いているデフレ脱却のための3つの柱は、実は外資のために作られた政策であったことに気づいたのは、実際にも外国資本家だけだったのだ。
不動産の売買、所有の自由化促進
金融実態の利回りと調達金利
グローバル化
2001年、新木場にDHLの専用物流センターが開発された。超大型倉庫開発事業者のトップ企業は、外国年金基金の運用を組み込んだ物流倉庫投資ファンドなのだ。年金基金という安定と安全性を最優先する運用先が日本の倉庫であったというのは、シニカルであり嘲笑ものであることを真剣に考えている人々は少ない。
それほど、世界のマネーはこの国に流入していること、バブル期に日本企業がロックフェラービルを買収した逆恨みが現実となっているのだ。
<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>