物流不動産ニュース

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いつか、屋上から出社する日 

「空飛ぶクルマ」の実現に向けた官民協議会が開催された。正式には「空の移動革命に向けた官民協議会」といい、要するに「空飛ぶクルマ」を実現するためにはどのような施策・取り組みが必要か、官民でいっしょに考えていこうという会議だ。

物流ではすでに「空飛ぶ宅配便」が実用化へ向け動き始めている。無人かつ自動制御のドローンを利用したものだが、実は空飛ぶクルマも仕組みは同じ。要はドローンに人を乗せるか荷物を載せるか、その違いなのである。もともと小型の無人機を指すドローンという言葉も用途が拡がり、昨今では乗用ドローンなんていう言葉まででてきている。

すでにドローンが無人・自動制御で安定した飛行を可能にしている以上、技術的な課題はほとんどクリアできているようだが、仕組みが同じとはいえ人を乗せるためには安全性がさらに重要視される。商用ベースに乗るだけの安全性と効率性の確保はもちろんだが、乗降場や飛行経路など、運航上のルールづくりも必要だ。法律やインフラの整備まで含めると簡単に実現できそうにない、と考えてしまうところだが、この分野に力を注ぐ Uber は「サービス開始の目標は2023年」との声明を発表している。5年などあっという間だ。

では近い将来、空飛ぶクルマが出現したとして、例えば家から会社までどのように乗っていくのだろうか。空飛ぶ“クルマ”とはいえ個人の所有は現実的ではなく、今のところ予約制のタクシーのような運用が想定されている。サイズも意外と大きくて家屋のガレージには入らず、庭に離着陸というのも(特に日本の住宅事情では残念ながら)無理である。家から最寄りの乗降場まで行き、そこから予約した機体に乗って出勤という手順になるだろう。ここまでは今の電車やバスと同じだが、大きく違う部分がある。所要時間と、直接目的地に着けるという点だ。

事故を避けるため目的地までの直線的な飛行は無理だが、それでも移動時間は大幅に短縮される。また目的地が一定以上の規模の建物であれば、乗降場(発着場)が整備される可能性が大きい。会社が入るビルまで、直接乗り入れられるのだ。

発着場の位置は屋上が有力視されており、いずれはビルの形状にも変化を与えるとみられている。1階にエントランス、地下に駐車場という今では当たり前の構造が、屋上に発着場、最上階に駐機場に変化するかもしれない。

それだけではない。モビリティや物流の変化は街にも変化を促す。道路の構造も、エントランスの位置も、建物の配置も。そしていずれは建物の立地という概念も、大きく変わることだろう。

そのころの街並み、今からとても楽しみではないですか?

 

久保純一 2018.9.5