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新経済成長戦略とは何か − 第1回 新経済成長戦略と物流不動産

 奇しくも6月2日、鳩山政権が首相の辞任と共に暗転した。本来なら今月、経済産業省主導の『新経済成長戦略』が公開される予定 だ。5月末、『産業構造ビジョン2010』が公開された。経済産業省産業競争力部会は本年2月から協議を重ねてとりまとめたのが、デフレ経済と成熟化社 会、不景気の四面楚歌からの脱却のために、これからの我が国の進むべき青写真、従わない者は取り残されるぞ、とでも言うべきビジネスバイブルの骨子なので ある。今回は概要を、次回以降詳細を解説していく。

 ビジョンは3つの視点でとりまとめられた。なぜ低迷しているのか、次は何か、そのための政策はどうあるべきか。従来型の行政政策である白書とは趣 も主張も異なっているのが特徴だ。前書きにある『今後、日本は何で稼ぎ、雇用していくのか』とセンセーショナルである。この通りに進まねば、お上は知らぬ ぞとばかりの強い口調の自己分析が始まる。

 1)日本の産業を巡る現状と課題
 2)戦略5分野
 3)日本の産業を支える横断的政策

 我々は知らない間に取り残されてしまった。平成不況の続く中で国内の政治や経済ばかりに気を取られていて、中国が世界第2位、OECD列強が日本 を凌駕して、南米やアフリカの富裕層が誕生していることを忘れていた。オイルマネーは砂漠に摩天楼を築き、カリブには大型客船がギャンブルを楽しんでい る。セレブとは少数の社交界だと思っていたのに、御用達の商品が銀座から姿を消していった。

 つい先頃GNP復活、5%成長の記事が出ていたがあれは秋空の日差しだったのかも知れない。エコポイント、環境減税、エコ住宅にシルバー旅行、残念にも医療保険の大量支出や事故補償災害も経済活動なのだ。

 小売りの王者だった百貨店は未だに増床計画に明け暮れ、しかも新参のファストファッションに売上家賃を下げて受け取る体たらく。

 工場稼働率が前年を上回っても、労働者に賃金は戻らず、消費は増えず、年金不安から闇雲に郵便貯金に通帳を届けている姿が目立つ。新卒採用が止まって、就職率を言わなくなった。派遣会社が引き取ってくれているからで、男子学生はバイト探しに躍起になる。

 さあ、新しい産業を作り出そう! というのが、新経済成長戦略なのだ。

 製造流通小売りが不調なら、物流にご用は減ってくること至極当然。同業の競争強化も勝ち残れるかが不安だし、勝っても将来に展望は少ないと見えて くる。スーパーも店舗も数が減り、共同配送も貨物も減少傾向に止まる様子もない。物流効率化は規模の経済性だから、しばらくは拠点統廃合の後処理で凌げる けれども、次の産業は?早くおつきあい願いたいところではある。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)