物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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経済成長成果に見る物流不動産動向 − 第11回 新経済成長戦略と物流不動産

 1996年が物量のピークアウトだった。それから12年間、建設関連、生産関連、消費関連のすべての物量が国内では連続低下を続けている。物量の 低下は経済の低迷に影響しているが、不思議なことに大手物流事業者は好調な決算を出しているところもある。それは、単純に自然淘汰が行われ、 M&Aや事業の吸収によるものだ。弱肉強食、自己責任の名の下に中小零細物流業者は依然として死活問題を抱えたままである。
 千葉県市川市、浦安市、船橋市の沿岸地域には構想巨大物流施設の開発が未だに盛んである。「どこに倉庫需要があるのか?」・・・・・・「移転統合の動きそのものである」
 運輸企業と同時に倉庫企業の老舗も倒れたり、事業清算が始まっているのだ。
 我がイーソーコでの仲介登録物件が2万となった。実態は空き倉庫増えただけである。
移転した荷主に代替営業が効かずに登録物件が異様なスピードでふくれている。

 製品商品が生産も消費も高まらないのだから当然であり、増え続けているゴミ、情報文書、データセンターへの<新規>倉庫需要に応えることが出来な いでいる。確実にニーズの爆発が起きているのに、既存の事業者は取りこぼしてばかりだ。旧態倉庫を転用してデータセンター、情報文書専用倉庫、レアメタル などが豊富に含有されたゴミ処分になった話もほとんど聞かない。
 だから新経済成長戦略としての5分野に営業挑戦する。・・・・・そんなにうまくいくか?

1.インフラ関連/ システム輸出'原子力、水、鉄道等(
2.環境・エネルギー解決産業
3.文化産業を輸出産業に'ファッション、コンテンツ、食、観光等(
4.医療・介護・健康・子育てサービス
5.先端分野

 確かに新しい産業が生まれつつある。観光と医療をセットした医療ツーリズムで3000万人の海外からの旅行客を国を挙げて取り込もうとしている。 銀座新宿渋谷原宿には、英語、中文、韓国語が溢れてきた。いずれマレー語、フィリピン語、アジア各国の専用カンバンが増えることだろう。
新しい産業が生まれるときには、ITと物流は欠かせないからマーケットは確実に存在している。しかし、新業界や新規の荷主が自社にノックしてくるかどうか?

 取りこぼしを放置して、新規の顧客を待つだけで良いのかどうか。
「いつまで、マチの営業を続けるのか」という問いに答える制限時間は残されていない。
タイムアップはすぐそこまで、針が動いている。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)