重いカバン − 第5回 物流不動産営業12の心得
薄っぺらな人間にはなりたくないだろう、話してすぐに底が知れるようなら、営業としては失格だ。話題が乏しいのは、話すに値しない自身にあると反 省しなくてはならない。恋人も同じである、夫婦もまた同じである。親子もそうであり、対人関係はすべて話さずとも、話すべき相手かどうかが分かるものなの だ。対話の相手を選ぶ感覚は、誰にでも備わった防衛本能でもある。
それを乗り越えるには、圧倒しなくてはならない。想像を超えた準備となりふりと、立ち居ずまいが必要なのだ。
ナニ、そんなに構えることはない。
馬鹿でかいカバンをどんと置き、中からあたかもあなたのためだけに作った資料を持ち出せばよい。セールスのコツはマイペースに引き込むことで、圧倒が最も効果的だ。
だますのでない、ごまかすのでない、日頃の仕事ぶりを顧客の目前に示すのだ。
提案の準備にどれほどの時間を掛けたか、相手は知るよしもない。ぺらぺらの数枚にどれほどの価値と効果が含まれているかも、知りようがないのだ。ならば、資料で圧倒せよ。準備の努力を見える化するのだ。イヤミではなく、誠実さと事実を示せばよい。
象のように厚く、重いカバンを目前に置くのだ。それだけで、事実は空気を圧倒する。2つ並べても良い、3つならだらしないぞ。
対話を始める前にカバンを探れ、何かを出そうとするのだ。準備にどれほど苦戦したかを振り返り、ゆっくりと手を深々と入れて、思いを引き出せ。
圧倒したとき、優位に立てる。圧倒は強みだ。常にその場の空気を支配する。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)