後継者と事業承継 − 18 
社長交代のこの季節になると、前述のようなことを考えて楽しんでいる。
ただ、気になるのは事業承継の問題だ。特に、一代で企業を作り上げたオーナー企業の対応だ。
企業の業績が良いと、株式に多額の含み益があると判断される。そこで株の相続があると、相続税が発生する。オーナー企業で株をほぼ100%持ち続けると、莫大な相続税を払うこととなる。
さらに、個人資産を売却し、相続税を払おうとしても、売却益が出てくるため、所得税が発生する。
よく行われていた物納も、平成18年の法改正で、申請数が3分の1にまで激減したという。
計画的に資産の譲渡や分散を行っていないと、相続の直前になって、焦って対応することになる。数代続いたオーナー系企業では、何度も経験してきた道だ。対策もしっかりとなされている。
一方で、急成長を遂げたオーナー企業では、まだまだ弱いところも多い。その場しのぎの対応では、十分な対策は取れない。万が一、オーナー社長が急死すれば、目も当てられない状況だ。
何気なく、オーナー系企業の社長交代を楽しんでいるのもいい。しかし、株の生前贈与や資産の動きを見ると、さらに、企業が分かるようになる。
(了)