東北地方サプライヤー▼相次ぐ被災でメーカー各社は減産に 
2011年04月14日 東日本大震災の影響によるサプライチェーンの毀損は、大手メーカー各社の生産縮小を余儀なくしている。
トヨタ自動車は8日、震災による部品供給不足を理由に、北米で生産調整を実施することを発表した。北米の車両工場で4月15~25日の数日間、また同エンジン・部品工場のほぼすべてでも、同様に稼動を休止する。それ以降の稼動については、今後の部品供給状況を見て決定するという。
日産自動車は車両生産工場とユニット工場の両方で今月中に順次、稼動を再開させていくも、当面は、部品供給の状況にあわせた生産となるため、今月末までの生産台数は当初計画比50%程度となるもよう。
そしてホンダは4月初旬の時点で、震災から3週間で事業再開に一応のめどがつき、4月11日から埼玉と鈴鹿で4輪完成車生産を再開する予定としているが、部品供給には課題があり、4輪生産関連の操業は当面、当初計画の5割程度にとどまり、一部の海外生産拠点でも減産は避けられないもよう。
エレクトロニクスもしかりだ。ソニーは生産活動を完全に停止している事業所はないとしながらも、地震の被害を直接受けなかった製造事業所でも計画停電や原材料・部品などの調達状況に応じて生産活動の調整を行っていると指摘。海外の製造事業所でも、一時的に一部の生産ラインの稼動調整を行っているという。
今後に関しては、ソニーグループ内における原材料・部品在庫の再配置や代替品の使用、原材料・部品供給元の拡大などを進めることで、早期の生産回復を目指すとしている。
同様の構図は海外勢にも認められる。
液晶テレビ世界首位のサムスン電子は、液晶パネル向けフィルムの全量を茨城のサプライヤーに頼ってきたため、震災の影響は大きい。またアップルも、今月発売した「iPad2」で部品調達が困難になるとの見方がある。さたにまた──ゼネラル・モーターズは、やはり日本製の部材を使用しているため、一時的な操業停止に追い込まれた。
国内外の著名メーカーに見られる減産の動きは、日本のサプライヤーの存在感を世界にアピールしたとも言える。日銀の白川方明総裁は「サプライチェーンは6~7月に回復する」との見方を示しているが、ことに海外メーカーの場合、アジアに“代替力”を求める可能性があるとの指摘には説得力がある。被災したサプライヤー各社は復旧を急がねばならない。