「中型免許」で人材不足が深刻化▼1.5倍働くドライバー 
2011年07月19日 【物流ウィークリーhttp://www.weekly-net.co.jp/】
運送業界は慢性的な人手不足に陥っている。中型免許が設けられたことで、新規免許取得者は普通免許で総重量8トンのトラックに乗れなくなり、これにより運転技術の向上は図られるものの、運送事業者にとっては、さらなる人手不足が生じているようだ。
中型免許制度に加えて、長時間労働といった運送業界の体質などから、「運送業イコール過酷な労働」というイメージを与え、ハローワークでも人気のない職業とされている。神戸市で冷凍食品などを輸送する運送事業者も人手確保に苦しんでおり、ドライバー一人当たりの負担が増加していると指摘する。
同社社長は「4トン冷凍車を20台保有しているが、ほとんどが深夜での配送。一部の車両は昼夜二交代制でドライバーが入れ替わって配送している。しかし、ドライバーが不足していることから、一人のドライバーが実質1.5倍の仕事量に陥るなど、厳しい状態になっている。中型免許が設けられてからは、応募があっても4トンに乗れないドライバーがいる。さらに、採用して教育して、ようやく一人で配送できるようになった途端に退社するなど、ドライバー確保に本当に苦労している」と話す。
大型車から4トンの中型車を保有する冷凍輸送の会社でも、「普通免許でも運転できる2トンクラスの冷凍車を購入し、ドライバーの育成を試みている。しかし積載量の関係から、2t車では困難な仕事を避け、仕事を選んで配送業務を行うことから、どうしても4トン車や大型車に負担がかかり、ドライバーから『非効率的な配送になる』とのクレームも多い。食品輸送は小口が中心ではあるが、やはり件数を積み合わせなければ給与を確保することも困難」とし、「冷凍車ではやはり最低でも、4t程度の車両で積み合せ輸送を行わなければ、採算が取れない」と嘆く。
今後、景気が回復すれば、人手不足がさらに深刻化しそうだ。