首都圏インフラ特集・国際空港▼成田・羽田2拠点体制 
2012年06月18日 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
羽田・成田空港による二拠点体制の整備が進む首都圏の国際空港。航空機の駐機場所であるエプロン増設、ターミナルビル拡張、誘導路新設などにより、発着枠の拡大を図ってきた。
拠点シフトではなく補完を
「羽田の運用拡大は、単に従来の成田での業務を羽田にシフトすることではない。それぞれの長所を生かし、補完し合って一体的に運用することが重要」と、国土交通省航空ネットワーク部航空ネットワーク企画課の中園浩吉課長補佐(航空物流担当)。
現在、羽田空港の年間発着枠は39万回。最短で平成25年度中に44万7千回への増加を目指す。成田空港は現在の25万回から、来年夏に27万回、さらに早ければ26年度中に30万回へと増やす。2空港全体では、合計で74万7千回の発着枠を確保する。このうち、国際線は36万回となる見込み。
国内・国際便の連携を推進
しかし、首都圏の航空貨物の物流インフラは成田を拠点として整備されてきたため、羽田での取り扱いは伸び悩んでいるのが現状。
22年10月の再国際化後、11月からの1年間で取り扱われた貨物量は約13万㌧で、当初目標の年間50万㌧を大きく下回る。国際定期便も就航していない。深夜・早朝時間帯に離着陸する国際貨物便の着陸料を半額とする措置が25年3月末まで延長されたのも、これが一因。
羽田の強みは24時間発着が可能であることと、市場への近接性。
医薬品、生鮮食料品などの輸入で利用が伸びており、輸出は成田でも輸入は羽田と、同一企業でも利用空港を使い分けるケースが出てきている。このような利用の差別化がさらに進む可能性もある。
また、羽田は国内便が多く発着することから、国交省は国内便と国際便の接続をより効率化することで、地方からの貨物量の増加を図る。「国内とのネットワーク整備を強化する」(中園課長補佐)。
フォワーダーからは、羽田―成田間のトラック共同輸配送の推進を望む声が多く聞かれるという。2空港間の低コストなアクセスが整備されれば、さらに一体的な活用が進むことが期待される。
今後の展開としては、「施設整備に加え、規制緩和、手続きの迅速化なども含めて使い勝手を良くし、アジアの他空港に対する競争力強化を図る。トランジット貨物(空港で他の航空機への積み替えを行う通過貨物)の増加についても、戦略的に取り組む必要がある」(同)。(村山 みのり)