味の素物流▼埼玉県久喜に新拠点で、物流を分散・複線化 
2012年11月01日 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
味の素物流(本社・東京、田中宏幸社長)は平成26年4月、埼玉県久喜市に「新東日本物流センター(仮称)」を稼働させる。味の素グループの工場で製造された製品を配送拠点に送り込む「補充拠点」としての役割を担う。補充拠点を現在の1カ所から東西2カ所に増やし、物流の分散化と複線化を図る。
新センターの所在地は埼玉県久喜市北中曽根の清久工業団地周辺土地区画整理事業内4街区2画地。鉄筋造り地上3階建てで、延べ床面積約3万3170平方メートル。味の素グリープの物流センターで初めて免震構造を備える。
東西2カ所に補充拠点設置
昨年の東日本大震災では、補充機能を持つ川崎物流センター(川崎市)が被災。全国の工場から製品が集まる唯一の補充拠点が機能を停止したため、配送拠点への供給が滞った。
味の素グループは有事に得意先へ製品を供給できないリスクを減らすため、物流体制の見直しに着手。味の素物流はその一環として在庫を分散化する。久喜の新センターを東日本の補充拠点とし、兵庫県西宮市にある配送拠点に補充機能を持たせることで、東西2カ所の補充拠点体制を構築する。
物流ネットワークの複線化も図る。一方の補充拠点・配送拠点が被災しても、もう一方で代替できるよう物流システムの統一なども行う。
分散化のメリット考え判断
大震災を機に、メーカーや卸、小売りは災害に強いサプライチェーン(供給網)の構築を模索。在庫の分散化などが議論されてきた。反面、コスト削減を目的とした拠点集約の傾向は依然として根強い。分散化に伴うコストの増加について、メーカーの味の素は「長い目で見れば供給が止まることによる影響の方が大きいと判断した」とコメントしている。(藤本 裕子)