医薬品物流▼一元化・温度管理にニーズ、諸外国の規定も影響 
2013年01月22日 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
成長産業の医薬品物流に進出を図る企業が増えている。一方、医薬品メーカーでは物流管理コスト削減のため発注先業者を集約するなど一元化の傾向がより顕著に。厳格な温度管理をはじめ輸送品質に対する要請水準も一層高度化している。
ワンストップへの需要増加
医薬品メーカーの配送センター業務アウトソーシングで高いシェアを持つ三菱倉庫(本社・東京、岡本哲郎社長)は医薬品運送部門の強化を進める。背景には、輸配送まで一体化したサービス、災害時などのBCP(事業継続計画)に対するニーズの一層の高まりがある。
同社は平成23年、医薬品輸送を専門とする子会社「DPネットワーク」を設立。従来、輸送部分は各地域の運送事業者と協業して行ってきたが、「作業方法などを改善・標準化し、さらなる輸送品質強化を図るには、実運送を統括する子会社を持つことが有効と判断した」(加藤栄一倉庫事業部医薬品チームマネジャー)。DPネットワークで構築したノウハウを基に三菱倉庫としての作業標準を整備し、提携する他の輸送事業者への教育充実を図る。
自社で輸送専門事業者を持つことで、災害時の医薬品輸送手段の確保も可能に。今年度中には専属車両も導入する計画。
注目される欧州GDP
医薬品物流に関し、注目されるのが、欧州GDP(Good Distribution Practice:医薬品の適正な物流に関する規範)日本導入の動き。主眼は厳格な温度管理。保管・輸送の室温を通常15~25度とし、輸送中も温度をムラなく一定に保つ管理が必要だ。批准により、欧州に本社を持つメーカーが全世界で自社製品に同様の対応を求めたり、国内企業でもグローバル展開の上で対応が必要となったりするなど影響が及ぶ可能性も。
これを見据え、三菱倉庫、DPネットワークは、欧州GDPに対応する定温輸送網の確立、輸送温度管理システム構築に着手。独自の保冷機器やこん包資材、温度管理システムの開発も進める。
近年、医薬品は、取り扱いのより難しい製品への移行が進む。「温度管理の逸脱が患者の生命に関わる可能性も。高度なノウハウ、資材開発は、ますます重要になる」(加藤マネジャー)。(村山 みのり)