新米社員が行く!シリーズ第2弾 『倉庫の街・清澄白河を歩く』 
入社1年目の新米社員が物流不動産にまつわるスポットをレポートする当企画。第2弾となる今回は、東京都江東区、清澄・白河エリアを歩きます。下町情緒あふれる街並みが広がる同エリアには、倉庫や高築年のビルをリノベ―ションしたおしゃれな店舗やギャラリーが多数点在。最近では、アメリカの有名コーヒー店が店舗を構えたことで話題となりました。じっくり歩いてみると、ポテンシャルを秘めたクールなビンテージ建築がそこかしこに!
古今の文化が織りなす街・清澄白河
江東区の深川地域は、浅草と並んで江戸の歴史や文化に出会える史跡の宝庫として知られていますが、中でも清澄白河駅周辺には清澄庭園や深川図書館、清洲橋をはじめとする江戸から昭和にかけての歴史的建造物が数多く残っており、古き良き街並みを維持しています。江戸時代からの物流を支えた運河も残っており、その中継地点として機能していたことからその名残として現在でも小さな倉庫や町工場が多数点在するエリアでもあります。そんな下町情緒あふれる清澄白河ですが、近年では現代の新たな文化の発信拠点としても注目されています。
清澄白河とブルックリン
2月6日、 “コーヒー界のApple” と呼ばれるアメリカ発のコーヒーチェーン「ブルーボトルコーヒー」が清澄白河にオープンしました。オープン当日はなんと4時間待ち、平日でも1時間は並ばなければならないほどの人気です。なぜ、ブルーボトルコーヒーが日本第1号店の出店場所に清澄白河を選んだのでしょうか。
ブルーボトルコーヒーは、2002年にサンフランシスコの対岸・オークランドの倉庫に焙煎所を構えたところからスタートし、サンフランシスコを中心にニューヨーク、ロサンゼルスと徐々に販売店舗を増やしていきました。日本1号店も、元倉庫を改装した広い店内に焙煎所が設置され、開業当時と変わらないスタイルを受け継いでいます。販売店舗の一つがあるニューヨークのブルックリンですが、どうやら清澄白河がブルックリンと同じ歴史の系譜を辿っているような類似した地域特性がみられます。 ブルックリンは、アメリカで最も歴史ある地区の一つで、沿岸地域は19世紀に巨大な貿易港として栄えた工業地帯でした。しかし、1970年代後半には製造業の空洞化を契機に住宅地区へと変貌し、主に芸術家や資産形成を目指す若年層が安価な住居を求めて次々と移り住みました。特にマンハッタンとブルックリンを繋ぐマンハッタンブリッジのたもとのDUMBO(Down Under the Manhattan Bridge Overpass)地区は、かつての倉庫や工場がギャラリーやアトリエ、スタジオに次々とリノベーションされ、毎年大規模なアートフェスティバルが開催されるなど世界中のアート・カルチャーが集積する街と変貌しました。 清澄白河はというと、江戸時代には深川地域行政の集約地で多くの行政施設を保有していましたが、明治時代は東京湾から隅田川へ流れる水運の便に恵まれていたため、工場地域としても賑わいを見せていました。そんな下町に1995年、突如として東京都現代美術館が開館します。
古さに新しさを見出す
ブルックリンと清澄白河の共通する地域特性とともに注目すべきは、行政の再開発による戦略的なエリアブランディングではなく、その土地に新たな価値と可能性を見出した人々や企業の自然流動的な流れが都心のインナーシティに活性化をもたらしているという点です。もちろん、都心に比べて地価が安いこともアーティストや個人経営の店舗が集まる理由の一つではありますが、街並みに埋もれていた空き倉庫が海外企業に注目され、地域の新たなランドマークとして人々を呼び込む装置に生まれ変わった光景には、既存倉庫の新たな可能性として目を見張るものがあります。2020年開催の東京オリンピックの「おもてなし」に向け、清澄白河周辺もスクラップ・アンド・ビルドによる再開発が進んでいますが、古今の文化が織り込まれた個性の隣接する街並みの中に日本の潜在的なエネルギーを感じざるを得ません。
▼個性が集う清澄白河エリアのギャラリー・リノベーションスポット▼