物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
最新ニュース・情報を発信しています。

  • メール会員情報変更
  • メールマガジンバックナンバー
  • ニュースメール配信登録

ベンチャー企業 - 第5回 物流不動産&EC物流の解決力

素早くスタートアップを図りたいベンチャー企業群にとって、すべての経営資源には十分な余力はないのが通常である。独創的なビジネスモデルを構築できたとしても、人材、資金、情報力、担保となる不動産が不足するのが当たり前だ。仮に主要スポンサーや株主が見つけられたとしても、初期のサービスや商品を十分に揃えることは至難の業である。否、「そうだったのだ」という過去形がふさわしいのが現代だ。

メーカーであれ、情報商社やITソフトウエア企業であっても、一から十までを自前で揃える必要はない。アウトソーシングは人材供給、生産委託、業務分担まで幅広いサービスが世の中には存在しており、アイデアと事業性がそれを支えている。信用すら、長期低金利と資金供給のスキームが豊富に揃い、「金が無いから始まらない」という言い訳は全く通用しない。

無いのは経営者のアイデアであり、事業プラン、マーケットへのプレゼンテーション能力が無い、と正直に言わねばならない。

最大の課題である顧客やスタートアップの資金すら、ECを通じて問題は解決できるのが現代だ。クラウドファウンディングをご存知か。

商品、サービス、アイデアをスライドや動画、プレゼンテーションするステージが整えられている。優れた商品を、アイデアや計画を世界にアピールできれば個人レベル、企業レベルで資金が予約という形で集まってくる。

KICKSTARTERはスマートウォッチPEBBLEのアイデアに10億円を集めた。(手数料はわずか!20%である)

集まった資金で生産を開始して、販売は絶好調であり、すでに3つのモデルまで増産中である。アップルウォッチを3年前からリードしている。資金が集まり、生産委託をアウトソーシングで行い、物流は国際事業者を利用して販売を行う仕組みが完全に成功モデルとして存在しているのだ。

ベンチャー企業にとって、最大の課題が解決できるスキームが存在していることが今、この時点にある。

なぜ挑戦しないのか、なぜ新しい事業を始めないのか。なぜ、業界に囚われ激しい価格競争に意気込みを感じているのか、なぜ頭から差別化、競争、抜け駆け、という発想が脱ぐいきれないのか。

挑戦者に不利な状況は、全く存在していない、ベンチャーにとって完全なるバリアフリーの時代が到来しているのだ。

 

資金も製造も販売も物流もアウトソーシング、ECを通じて調達可能な今、本当に求められているのは企業家という人格であり、地球に存在しているという国際人感覚そのものなのだ。

クラウドファウンディングの規模は個人出資が主体かもしれない。出資というより、商品サービスの辛抱強い予約待ちというべきかもしれない。しかし、KICKSTARTERのサイトを調べればすくわかるように、ベッカー(支援者、出資者)は個人だけではないことに気づく。新しい画期的な商品を探し求めている商社であり、既存の事業者なのだ。

 

B2B、B2Cなどという区分けではなく、優れた商材は世界中に一瞬にして販売が可能なのだ。しかも、商品そのものが存在しなくてもである。まさにバーチャルビジネスのステージと言えるのだ。与信の問題はサイトの主催者が監視しており、プランが現実にならなければ(生産が開始できなければ、資金予約が計画通りに集まらなければ)、出資や払込は実行できない。金だけが取られてしまう詐欺紛いは起こり得ない仕組みが整っているのだ。

このようにして産まれるベンチャー商品が日本に集中すれば、専用の物流施設が必要になるだろう。北米でブームになれば、それはそれで専用の物流企業が同じようにクラウドファウンディングで登場するに違いない。物流企業すら自前の設備や施設を必要としない時代なのだから。

産業も前提条件が崩壊しており、業種や素材に縛られることがなくなった。小売流通も店舗を必要とせず、世界を相手に休みなく販売活動を遂げられる。規模が小さいのなら競合巨人のアマゾンを利用すれば、販売も輸出という越境販売も代行してもらえる時代である。

こうやってベンチャーが席巻して始めて既存の事業者が慌てるのだろう。マーケットはどちらを支持するのか、古いしきたりの商習慣であるのか、営業の担当者のメンツなのか、それとも優れた商品サービスのシームレスな提供なのか。答えはすでに明らかなのだ。

イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵