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人づくりは社会づくり その4「病気は生活改善のチャンス、不正は構造改革のチャンス」 - 131 

角田20151220

筆者の地元・鎌倉では、白紙請求書問題が最近の話題となっている。事のあらましは、医師会が市に対して提出する請求書に金額が記載されておらず、市側で随意に記載していたことが、市議会9月定例会で露見したというもの。現在、市は原因究明と再発防止に向けて調査委員会を設置、調査中とのことであるが、そんな大がかりなことをするまでもなく、だいたい察しがつきそうなものである。

諸賢もご経験のことと拝察するが、書類の手直しに要する時間や手間は、事務作業の中でも決して小さくない割合を占める。まして民間より高い正確性の求められる役所となれば尚更で、一つの修正が事務作業全体(スムーズに進んだ場合)の時間を上回る事態さえ起こりうる。行政の停滞は住民生活に深刻な影響を及ぼすことから、それならば“最初から修正”出来るよう、金額部分を予め白紙で出そう。それ以外に不正の意思がないのは、特に市職員が私利を貪った形跡のないことから明らかである(もしあれば、市議やマスコミが鬼の首を獲ったように騒ぎ立てることは間違いない)。

言うまでもなく、不正は許されるべきではないし、見逃されるべきでもない。しかし、現場の事情を察するならば、真になすべきは人気取りの官僚(公務員)叩きより、再発防止に向けたシステムの見直しである。そもそも、なぜ不正が起こるのか。言うまでもなく、その方が何かしらのメリット(例:時間や費用などコスト削減)があるからである。ならば、不正によるメリットの減殺か、正規手段によるメリットの増進を図ることこそ、解決の糸口となる。

人体に喩えるなら不正とはまさに膿であり、それが噴き出すことで露見する。言わば組織に溜まった毒素である。これを単に排除するのではなく、組織改善の大きなヒントと前向きにとらえる視点が求められるのではないだろうか。

(フリーライター 角田晶生)2012.12.20