リーダーシップ - 第12回 物流不動産Bizの人材開発
人の上に立つ事がリーダーシップであると言うにはひと昔前の常識だった。パイロットとして進路を見極め、後続を引き連れるのがその姿だと信じられてきた。目にする現実だけに対処するならそれでも良いが、真実は目に見えている事だけではない。この道の先に成功が約束されている訳ではなく、進んでみて初めて気づくのが不確実性といわれる現代の特徴だ。顧客の満足度は表情やサインだけではつかめず、リーダーの経験が全てに正解をもたらすとは限らない。
何が売れるか、どれが誤りなのかはその瞬間を迎えて初めて明らかになる。計画は必ずしも成功をもたらさず、予想外の失敗を切り返して成長の道を切り拓く事もできる。確実な情報はここになくて、刻々と判断を下してゆかねばならない。
するとリーダーは前方監視と軌道修正の意思決定が行える位置にいる事がふさわしい。つまり、先頭に立つのではなく、むしろ隊列や組織の後方に居る羊飼いのような存在が実態に合っている。
企業の組織図も顧客満足経営を謳うなら、顧客を筆頭にラインが続き、マネジメントが最下段に位置する逆ピラミッド型が理にかなっている。事実、この組織図は優れた業績の企業に見て取れる。
情報は上から下に流れ、受け取ってから意思決定を行い、機関やツールを利用してプッシュアップするのが現代流なのだ。
リーダーシップの心構えは、全体観を持ち情報を収集する立場にいる必要がある。
常に一歩下がり、隊列の動きを察知しながら、時々刻々と軌道修正の判断を行わねばならない。人を動かすには全体を見る姿勢と見られる位置に自らを置かねばならない。先頭にいて背中を見せていてはいけないのだ。報告や連絡を待つのではなく、自らが取りに行く姿勢が必要だ。機を見て敏であれとは、リーダーシップの大切な資質ではあるが、自ら備えたものでなく、育てるものだとするとポジショニングがその役を果たすであろう。
過去の経験が弊害や障害になることもあり、リーダーの独断は全体を危機に追いやることもある。二つの目と耳で見聞して、判断号令は簡潔でなければならない。時として、異常に気づけば前言撤回も躊躇してはいけないのだ。
世に歓迎されるリーダーは、相談解説支援のベテランであり、号令叱責疎外の頑固者ではない。常にチームの最適な配置を心がけ、全員の成功満足を目指している。この姿もまた羊飼いと重なるだろう。
SUCCESSとは
Select goal 明確なゴールに向かい
Unlimited 無制限の努力を投入して
Chart course わき目よそ見をせず
Challenging 果敢に挑戦しながら
Evaluation 行動を振り返り
Sacrifice 自己犠牲を省みず
Stick it 徹底する
事によって勝ち取れるものだ。
そのことの手本を示し、自ら実践する事がリーダーの姿であり、尊敬を集められる事によってパワーを勝ち取れる。真の権力者とはそのようなものであり、与えられた地位や職能ではないのだ。
マネージャーでありリーダーシップを期待されるなら、その仕事の大半は「心配する」事だと銘じて欲しい。
今、何が起きているのか?:という情報収集
それは、なぜなのか?:という状況分析
ならば、どうすれば良いのか?:という課題解決と実行の呼びかけ
つまりは、全てにおいて、環境、状況、チームの状態を心配する事なのだ。直ちに行動や発令を行う事ではなく、意思決定とは確実なステップとプロセスを経た上での慎重なる行動を改めて実感して欲しいのだ。
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵