人の嗜好や趣味がその外見にあらわれるのは、ごくあたりまえのことだ。しかしそれは、服装だけに限ったことではない。長く過ごしてきた環境や経験は、顔をはじめとする容姿にもあらわれるようである。

その端的な例として「職業顔」という言葉がある。特定の職業に長く就いていることで次第に顔つきが似てきたり、あるいは顔つきの似た人が特定の職業に就いたりすることが多いのだという。

これは多分にイメージに左右されるところが多いともいえるだろう。しかし古来、洋の東西を問わず行われてきた人相占いを例に挙げるまでもなく、職業に共通した平均的な顔つきが存在するという認識はすでに一般化しているといっていい。昨今では様々な職業の「平均顔」を割り出そうというプロジェクトも存在し、また職業と顔つきの関係性にクローズアップした写真集も話題になった。その認識は、むしろ強くなっているのかもしれない。

では私たちが身を置く物流業の顔、倉庫業の顔とは、どのような顔だろうか。同じ物流・倉庫業界でも、トラックドライバーや庫内作業オペレーターなど熟達した技術が求められる職種の顔はイメージしやすいかもしれない。しかし物流営業倉庫の仲介管理、物流システムの設計といった職種はどうだろう。今後必要とされている、マルチな知識とスキルをもった物流ユーティリティプレイヤーなどは、どんな顔になるのだろうか。その答えは、まだでていないようだ。

これからの「物流顔」「倉庫顔」は自分が創るという意識で、といったら気負いすぎかもしれないが、やはり魅力的な顔にしたいものである。

（久保純一）