物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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法律のせいにはしたくないけど - 107 

先日、国土交通省がトラックによる旅客輸送を一部地域で認める方針と報道され話題になった。タクシーでの貨物輸送も認めるという。

アベノミクスの柱の一つと位置づけられている地方創生の一環で、対象となるのは過疎がすすむ地域。トラックの旅客輸送は交通難民対策として特定エリア内の近距離を、またタクシーの貨物輸送は郵便物や新聞などの輸送を想定しているようだ。 これは一見すると非常に革新的な施策のようだが、海外では珍しいことではない。例えばスイスの「郵便バス」は、郵便物を運ぶ馬車に旅人を同乗させたのがはじまり。今でも郵便物と旅客を乗せて、スイス国内を縦横に走りまわっている。

実際にトラックに旅客を乗せるためには、乗降場の整備や座席の設置などクリアしなければならない課題が少なくない。しかし結局のところ、クリアするべき最大の課題は法律だろう。法律さえクリアすれば後は運営者側のオペレーションの問題なのだが、そもそも法律には消費者や既存の既得権を保護するという役割がある一方、新しいビジネスの成長を阻害してしまう場合がある。そんな例はいくらでもある。

空き家問題がクローズアップされるとともにリノベーションに対する関心も高まっているが、これも同じ構図が当てはまる。現状では、倉庫を店舗へ、あるいはオフィスを住居へといった用途変更は、不可能な場合が多い。とりあえずは「建物の用途変更がもっと容易にできれば倉庫の時代が来るのに」などとつぶやきつつ、空き倉庫の図面を眺めながら妄想を膨らませている。

(久保純一)2015.03.20