アメリカ物流トレンド見聞 その３「学生にも起業という選択肢を」 － 126
日本にグローバル企業と呼べる企業は多くないが、自動車や電機など、世界に通用する企業は数多い。しかし近年はシリコンバレーのような、ベンチャーからスタートして世界に通用するまでに成長した企業はまだ少ない。
その理由のひとつとして、起業する人間の少なさが挙げられる。最近は少し意識が変わりつつあるが、せっかく工業大学で先端の技術を培っても、起業する大学生は少ない。非常にもったいないのである。
今、世界における日本の大学のランキングがドンドン下がってきている。しかし日本の技術の優秀さは世界が認めるところであり、その地位が急落することもないだろう。Made in Japanの品質・性能は群を抜いており、その製品に対する海外からの評価は依然として高いのだ。海外に10年、メーカーに12年以上在籍した私は、日本の製品に対する高い評価を肌で感じてきた。商品が出来上がるまで手を抜かない。何度も何度も最終チェックを繰り返し、高い品質を確保することを怠らない。日本人は勤勉なのである。
高い技術に憧れ、日本に学びにやってくる優秀な外国人留学生も多い。ただし、彼らは卒業後、本国に帰ってしまう。そのまま日本に残って日本のビジネスとして活かせればよいのに、まずはどこかの企業に帰属しなければ日本に残ることができない。にもかかわらず、外国人というハードルで採用数も少ない。これも、非常にもったいないことである。
日本はもっと起業文化を大学のうちに教えるべきではないだろうか。大学3年になったら右へならえで就職活動を始めるかわりに、企業には属さず、自ら起業するには何が必要で、何がリスクで、どれだけの見返りが期待できるかなど。起業について、少なくとも就職するための情報量と同程度の情報量を提供できる仕組みが必要なのではないだろうか。それとともに、就職するか起業するかを自ら選択できるレベルの学生を育てていく。そうしないと、日本の成人みながジェネラリストになってしまう。せっかく大学で培ったものがあるのに、活かせないのはもったいない。
（日本物流不動産株式会社 代表取締役 池田晃一郎 2015.11.05）
日本物流不動産株式会社：平成25年設立。倉庫賃貸をはじめ、倉庫や事務所等の商業用不動産の仲介、外国人向け物件紹介サイトの運営が主業。物流業務に役立つ「物流不動産英語塾」や高品質なメイドインジャパンのアジア向けEコマース事業も展開中。
