ソフトバンクが物流事業に本格参入 
ソフトバンクの周囲が賑やかだ。昨年10月、配送アプリを手掛けるブラジルの新興企業ロッジに約1億ドル(約112億円)を投資したと発表した。ソフトバンクはこれまで、ライドシェア大手の米Uber、中国DiDi、インドOLA、シンガポールGrabに出資、合算運賃取扱高は約10兆円を記録した。孫正義社長が目指すのは10年以内に、米Amazonの取扱高を上回ることとしている。
同じ10月、ソフトバンクはトヨタ自動車と手を組み、モビリティーサービス構築に向けた新会社「MONET Technologies」を設立した。両者のプラットフォームを連携させ、配車サービスと自動運転技術を使った新事業で協業、モビリティープラットフォームを構築する。
MONETはトヨタが開発中のBtoBをターゲットにした多目的電気自動車「e-Palette」(イーパレット)の商業化を目指す。来る2020年の東京五輪・パラリンピックで一部機能に絞った車体を披露する計画で、実用化の目標は2020年代半ばとする。モビリティー技術のトヨタと、AI分野で拡大するソフトバンクが新時代サービスへの先陣を切った形だ。
そして、国内流通業にはこの2月に参入を表明した。ソフトバンク、ヤフーとイオンが提携し、独自ブランドのネット通販を開始するというのだ。アマゾンジャパンをターゲットに、EC分野での合従連衡が開始される。ヤフーとイオンは個別にネット通販を手掛けてきたが、3社連携により商品ラインナップや顧客情報を共有、アマゾンジャパンとの外堀を埋めていく狙いがある。
そこで欠かせないのが物流人材確保だ。ニトリの物流子会社・ホームロジスティクスの元社長・松浦学氏を迎えたほか、物流とITに知見をもつ人材採用の積極化を強化している。物流の重要性が高まりを示す中、最新テクノロジーやAIを物流に取り入れることで、孫流の物流最適化を図ろうとしている。本気になって物流を変えようとしている証だろう。
ロジスティクス・トレンド 水上 健