社長の引き際 − 17 
ここ数ヵ月、社長交代の情報であふれた。物流子会社のトップが替われば、大抵は親会社で経営陣刷新などの大きな異動が行われている。
どんなラインにいた人なのかと深読みしたくなる。
さらに気になるのが、オーナー企業の動向だ。社長の手腕で、一代でのし上がり、会社を成長させた。そこには、社長の冷静な判断と能力があったからだ。だからこそ、次の社長は、社員の中から優秀な人間を選んでもらいたいと思ってしまう。
そういった目で企業の役員構成を見ていても、役員の中に子供がいる企業は多い。
オーナー社長が冷静な判断ができるうちはまだいい。年を重ね、老境に入っても、社長の席にいると、過去の栄光にとらわれるようになる。時流に合わない過去の実績を語り、同じやり方を求めてしまう。社員が翻弄(ほんろう)される。
過去の華やかな成長を遂げたからこそ、周囲の人にとっては残念でならない。
一方で、オーナー系で数代続いた企業の場合、大体は世襲だ。しかし、役員の中に、社長と同じ姓の人がいない企業もある。社長は引退を考える年でもだ。
そういった企業を見つけると、今後の動向を注視している。誰に社長を継がせるのかも気になるが、社長に指名された人間が、どんな手腕を発揮するのかも気になるところだ。
(続)