こだわりがビンテージ倉庫を生まれ変わらせる − 66 
先日、ビンテージ(築年の経った)倉庫をラグジュアリーなレストランにリノベーションした事例を取材する機会を得た。周辺がマンションや店舗になってしまい、物流用途には向かなくなった倉庫を当初は従業員寮にする予定で買い取ったという。
駅近という立地の良さなどからレストランを開業することになり、プロの手も借りながらオーナー自らが、スタッフと共にインテリアデザインや内装工事を手作業で行った。その結果、ゴージャズでありながら手作りの温かみのある居心地の良いレストランへと変貌した。
狭い階段でも壁に棚を作り付けエレガントな調度品を陳列したり、デッドスペースも従業員スペースに改装したりするなど工夫を凝らしお洒落に変身させた。一般の不動産的な視点からでは不便でも、工夫次第でいかようにも空間を作り変えることができる倉庫リノベーションの素晴らしい実例だった。
物流用途としての生命を終えた倉庫は、オーナーとスタッフのこだわりによって新たな命を吹き込まれ、ラグジュアリーなレストランとして生まれ変わった。この2年で首都圏に大型物流施設が約40万坪供給され、荷主の物流拠点集約も進み、ビンテージ倉庫の空室率がより高まることが懸念される現在において、倉庫リノベーションの可能性を強く感じた取材だった。
(イーソーコ総合研究所 鹿野島 智子)