イーソーコが物流プラットフォーム「docomap JAPAN」に参画

<レポート>イーソーコが物流プラットフォーム「docomap JAPAN」に参画

9月20日、NTTドコモ関西支社に報道関係者が集まり、サプライチェーン最適化のための新たなサービスが発表されました。テレビクルーを含めた約70名の報道陣が集う物流関連の製品発表会は極めて異例のこと。それだけ物流プラットフォームの立ち上げが大きな注目を集めたことの現れです。

11月より投入される新サービス「ｄｏｃｏｍａｐＪＡＰＡＮ（ドコマップジャパン）」はトラックの空車回送削減を狙いとしたものです。日本全国を走行するトラックや倉庫情報を同一地図上（専用サイト）でリアルタイムに表示。車両に装着した衛星利用測位システム（ＧＰＳ）端末から車両情報や連絡先を登録すれば、荷主や運送会社は地図上から位置情報や荷室の空き状況の管理と車両手配（マッチング）が自由に行うことができます。

国内全産業平均以上のペースで高齢化が進む物流業界では、トラックドライバーの不足を筆頭に、今後ますます労働力不足が深刻化するといわれています。まして全事業者の99.9％が中小企業（資本金3億円以下または従業員300人以下）の運送業界では、コストの関係から運行管理システム化に踏み切れなかった事業者は少なくありません。

中・長距離トラックの平均空車回送率は約30%といわれています。労働時間の増加や車両の営業損失、燃料代、高速代の全てが損失となってしまう負の連鎖に対し、打ち出されたｄｏｃｏｍａｐＪＡＰＡＮは、物流業界に大きなインパクトを与えました。車両位置情報の共有化を目指し、ドライバー不足問題、トラック台数の削減、荷物小口化による請負件数の増加、運行多様化によるトラック増車も実現できるためです。

ＮＴＴドコモが出資したドコマップジャパンが販売元となり、ｄｏｃｏｍａｐＪＡＰＡＮ利用料はトラック１台あたり月額1480円。低い価格設定から全国の運送会社が多数参画することで、無理・無駄のない業界標準のプラットフォームが構築します。

プロジェクトはＮＴＴドコモ、ドコマップジャパンのほか、車両検索データベースを提供した富士運輸、運送会社と荷主とのマッチングで実績のあるトラボックス、イーソーコが参画しています。

イーソーコグループは国内最大級となる倉庫物件情報の「イーソーコ.com」を運営、富士運輸・松岡弘晃社長からの強いオファーを受け、プロジェクトに参画しました。ｄｏｃｏｍａｐＪＡＰＡＮでは中継輸送のハブ拠点となる倉庫情報の見える化に対し、バックグラウンドから支援を行います。会見では寡黙な一面を貫き通したイーソーコの会長・大谷は、「念願だった物流業改革の一環として、ｄｏｃｏｍａｐＪＡＰＡＮの成功を支援していきたい」と熱く語っていました。

ｄｏｃｏｍａｐＪＡＰＡＮはサービスインと同時に集めたデータの解析を進め、人工知能（ＡＩ）を導入し、輸送効率をさらに高める機能も開発準備に入りました。ＮＴＴドコモが研究開発を進める第５世代移動通信システム「５Ｇ」導入となる２０２０年をメドに、データベースを活用したマッチングの自動化・予測なども実現する計画です。