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【レポート】流通経済大学 ロジスティクス実践講座Ⅱ「物流不動産ビジネスを学ぼう!」 

 流通経済大学は9月28日、千葉県松戸市の新松戸キャンパスにおいて客員教授の大谷巌一(イーソーコグループ会長)による、ロジスティクス実践講座Ⅱ「物流不動産ビジネスを学ぼう!」を開いた。

会長

同講座は2014年10月に開かれた新松戸・龍ヶ崎の両キャンバスにおいて、大谷が講師を務める「物流不動産ビジネス講義」を行い、物流不動産ビジネスの優位性を学生に説いてきた。

引き続いての講座となる今回のカリキュラムは、①他業界からの新規参入で競争が激化する一方の物流業界の現況、②物流不動産ビジネスの概要、③物流業界を変革する「物流ユーティリティプレイヤー」、④イーソーコグループ人材育成の取り組み、の4本柱で構成。大谷は冒頭、「物流業界は変革の時を迎え、既に動き始めている」と主張、メガ倉庫への拠点集約の事例を紹介した。

その一例として、横持時間短縮と運送コスト削減により、賃貸面積19,300㎡(5840坪)、賃料5000円月/坪、入出庫2,000パレット/日の従来型倉庫の賃料比較を行い、年間5,000万円の削減した事例を紹介、「純利益5%の企業では年間20億円売上に匹敵する経営改善になる」と強調した。

また、庫内作業の生産性アップに欠かせないマテリアルハンドリング機器に言及、米アマゾンが導入したインテリジェンス・ロボットを紹介した。ピッキングの際に自律走行を行うロボットが商品積載棚を作業員の前まで自動搬送するもので、庫内人員の大幅削減が見込める。日本では日立製作所が市場投入を行った話題のツールだ。

自動車の「自動運転」は各国の技術が年々進化され、ダイムラー社は2020年にメルセデス・ベンツ「インテリジェント・ドライブ」発売を計画。トラックへの応用は2025年販売をメドとしている。また米国では今後5年で商用ドローンが750機飛ぶと見られており、連邦航空局は有人飛行機と共存できる法律をつくる動きがあるという。

 

■物流に不動産業のスキル応用で高い売上高を確保

 揺れ動く物流業界を予見したイーソーコが17年間動き続けてきたのが物流不動産ビジネスだ。「物流施設を基軸とした物流総合営業」を目的に、物流改善を物流施設面より提案することで、立地、機能、コストといった物流環境と、物流・不動産・金融・建設・ITの関連業界を有機的に結び付けるソリューションビジネスを示す。

物流不動産ビジネス概況図

物流不動産ビジネススキルを持つA社は、平成15年度69億円の売上から25年度に250億円を達成、10年間で3.5倍の売上で360%成長した。

また、大手3PL事業者3社から同時期、「半年後に都内で2,000坪の物件を借りたい」という問合せがあったエピソードを紹介。依頼がほぼ同内容のためコンペ案件になると判断したが、当時都内で2,000坪の物件情報がなく、倍の4,000坪であれば紹介可能な物件情報は持ち合わせていた。その物件を3社同時に紹介したところ、「世余剰スペースとなる2,000坪に空賃料を支払えない」と採算性を理由に断られた。しかし、このコンペを制したのは上記3社ではなく、前出のA社だ。A社は、①一括長期賃借による仕入れコスト削減、②希少物件と見極めた営業戦略、③倉庫内作業での高収益化を実現--の3点の戦略は見事なものだった。

1棟で2,000坪のスペースが取れる物件は希少かつバリューが高い。そこでA社は3・4階の合計2,000坪を4,500円/坪・月でエンドユーザーに賃貸、2,000坪×4,500円/坪=900万円/月を得ることができた。 残り(余剰)スペースの1・2階の坪単価を賃料から逆算すると1,400万円から900万円を差し引くと、月間500万円。これを2,000坪で均すと2,500円/坪・月となるA社は、1・2階のスペースを2,500円/坪・月で自社の庫内作業オペレーションができ、大きなコスト削減を実現、高い収益を上げることができた。「物流に不動産業のスキルを応用した」と、A社の多角的な視野とスキルをもった戦略を大谷は高く評価する。

 また大谷は、「物流改革のために収益を上げるには人財がキーとなる」と述べる。物流不動産ビジネスを総合格闘技の選手に例えると、立ち技・打撃系と寝技・組技系に大別できるが、総合ファイターが求められていることを紹介した。

 「変化に対応できる柔軟な人材と新しい物流ビジネス、不動産ビジネスを展開する物流企業こそが成長し勝ち残る企業です」と大谷は聴講する学生にアピール。その後、イーソーコが実践する人材育成の研修システムを紹介した。

 

同日聴講した学生たちに行った、主なアンケート結果は以下の通り。

Q1データ

 

Q2データ

 

Q3データ