【レポート】JA-LPA第9回セミナー「物流不動産の未来を考える」 
日本物流不動産評価機構 推進協議会(望月光政委員長/JA-LPA)は10月21日、東京都港区の日本通運 大会議室で第9回定期セミナー「物流不動産の未来を考える」を開催、約200名が訪れた。
基調講演に、国土交通省坂巻健太大臣官房参事官が「物流不動産の未来を考える」をテーマにご講演した。
坂巻氏は冒頭、国交省が推進する今後の物流政策の方向性について、「潜在的な輸送力を最大限に引き出す」「新たな連携で課題解決力を高める」の2点を示した。
そこで求められるのが物流事業の生産性向上を支援する物流施設へのテコ入れだ。「保管型の倉庫のみならず、集配送や流通加工も含めた施設の多機能化が進んでいる」と坂巻氏は指摘するが、求められるのは機能強化のほか、地球環境問題対応、災害対応力の強化、老朽化対策のほか、 道路の防災対策、老朽化対応となる。
また海外においては、 「アジアの物流需要の成長を取り込み、アジア物流圏全体の効率化を進めていく必要だ」と語る。物流施設の整備動向について、世界同時不況の影響で一時下落したものの、最近は増加している。近年では、賃貸型物流施設の割合が増加傾向にあり、開発主体も不動産業者によるもの、資金調達方法も証券化を利用したものなど、多様化してきている。
最後に坂巻氏は「人材育成、共同化が鍵となる」と展望した。
その後、日本政策投資銀行企業金融第3部 土屋勝俊課長「物流不動産~金融機関の視点から~」とした講演で、「今後は冷凍施設に対するニーズは高まるだろう」と期待感を示した。
セミナーは続いて、日本物流施設 河田榮司社長「区分所有による共同型物流センターの解説」、J&Kロジスティクス 原瑞穂社長「高速道路に連結した複合物流センターの開発」、イーソーコ 大谷巌一会長「人が変える物流の未来~物流業界を変革する人材とは~」と充実した内容だった。
会場アンケートでは、「物流業と不動産業とは決してトレードオフの関係ではないはずだが、倉庫業界は相変わらず閉鎖的な環境。上手く融合させていくこと必要」、「商材の変化による倉庫の必要性、変化等を感じ、大きな可能性を秘めていると感じた」、「物流不動産市場の成長規模は目覚ましい。市場全体が活性化されている」などの声が聞かれた。
同セミナーの模様は月刊「ロジスティクス・トレンド」2016年1年号で詳細レポートを行う予定。