世界マネーを日本に集める collecting capital(第17回) 物流マネー70兆円のゆくえ
平成30年の年頭にあたり、日頃のご愛顧に感謝申し上げます。
間もなく平成も終わりを迎えようとしている。日本の経済史の中でこれほど長く低迷を続けた時期はなかった。為替と株価は金融政策と世界一の年金基金が買い注文を出すことでバブル期の高値まで戻ろうとしているが、意図的な働きが長続きすることはなくいずれ失速が見え隠れしてきている。
明治殖産振興以降、金融と不動産は反社会勢力の稼ぎ頭になっていたこともあり、正業とは言われなかった。バブル景気は不動産への貸し込み過剰によって引き起こされたが、その途上では眉をひそめる経営者が多かった。
日本をイギリスに負けない有数の金融立国に
英国病という鉄と工業の衰退を救ったのはウィンブルドン現象と呼んで茶化したシティ金融街の開発だったからだ。景気低迷、税収不足のための人頭税まで導入していたイギリスの復活は、金融ビジネスの成功にあった。しかも、自らは手がけなかったのだ。
欧米でも金融の歴史は民族問題や反社会勢力との決別に苦慮していたからだ。
それらをして、長いこと日本では不動産事業や金融を不労所得として卑下してきた。
平成不況はその復活をECRという企業不動産に求め、製造業を支える付加価値の高い金融立国で産業転換を図ろうとしてきた。いずれも成功していたとは言えないが、歴史を繰り返しているに変わりはない。
金融と証券は景気に左右されない産業だ。人の欲望と直結するものであり、欲がある限り形を変えて商品を変えて、産業として続いてきたからだ。
税収も金融収支も説明が必要だが、稼ぎ出したカネには色も理由も必要がない。
不動産と金融が最後の規制を外してまで、物流施設に向かい始めている現在はそろそろ幕引きが見えてきたと言える症状だ。倉庫が過剰であるとか、資金の集め方に無理があるとかという意味ではないが、製造消費によってではない産業は、所詮は国民経済とは別の事情と理由で栄え、そしてピークを迎える。
あと2年が話題を集める物流不動産であり、次の場面では下がり相場でのテクニカルが必要となる。
<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>