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経営方針の理解 - 第3回 物流不動産Bizの人材開発

企業にとっての「優秀な人材」とは、文武両道に長けた若手を指している。現代でいえばcool head, but warm heartということであろう。強い情熱と冷静な判断能力を持ちたいものである。しかし、若手にっては二兎を追うことにもつながり、多大なストレスを抱えることになる。初めて経営方針を真面目に理解しようと呻吟することもあるだろう。

<〜〜もって社会に貢献する>などという経営理念と売上目標は連動していないから、古い体質の企業であれば、「一体、オレは何をすべきか」と連日悩むことになる。珍しいことではない、日本の企業では至極当たり前のことなのだ。

何より責任を持たされた部門や部署で、業績とチームワーク、リーダーシップを期待されるマネージャー兼務プレイヤーでなければならないからだ。

誰もが悩む目先の問題は、<部下を育てる教育>と<業績を保証する計算>が同時に求められていることに気づく時だ。これこそがcool head, but warm heartの意味なのだ。

企業全体の経営方針や事業の内容はすでに把握していても、それを自らの目標値やチームのミッションに落とし込み、分解し、皆に伝え、そして実行させるには大変な労力が必要だ。どこから手をつけて良いのかも迷うばかりであろう。

物流に限らずとも、企業方針や戦略目標とはいうものの、実際のところでは全社的な売上金額や利益金額だけが一人歩きしている。「100億円の目標?オレたちはどうすればいいの?」というのが現実として目の前に立ちはだかる。良き先輩がそばにいれば、「前年対比、実績目標」というのがヒントとして与えられるが、それすらない時にはどうすれば良いのか。直接経営者や上司と相談できる環境にあれば、みっちりと膝付き合わせながら「部門の目標値や自身の数値」を解きほぐしてゆくことができるだろう。

上司がいなければ職場の先輩たちを総動員して、<方針や目標>を全員のコミットメントに落とし込んでいく作業が必要になる。

この時リーダーは先導者であって、実行するためのチーム全員に理解を行きわたらせなければならない。企業の目標や戦略は、単なる読み物ではなく、自らの行動や作業にまで分解することが必要なのだ。前年対比、直近の実績、そして将来展望に合わせて明日の計画を作ることがマネージャーの役割になる。当然のことながら、実行に当たっては体一つで済むはずはなく、様々な資源や投資、設備や機材の重要性が浮かび上がってくるだろう。手作業だけでは何事も進まない。むしろガンバリズムは経験・勘・度胸と同じで弊害になる。できるなら業務や作業、仕事全体をシステム思考で再設計する必要もあるのだ。

売上を要素に分解し、コストや投資もそれぞれ要素に分解する。そして、再び積み上げてゆく作業が「経営計画の自分範囲」となるわけだ。マネージャーはcool headをまっ先に活用しなければならない。方法論を徐々に説明して行こう。

 

イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵