CRE戦略構築のためのガイドラインとは − 第4回 CRE戦略と物流不動産
国土交通省の土地・水資源局から、「CRE戦略を実践するためのガイドラインおよび手引き」という公開資料が開示されています。ガイドライン80P、手引き183Pの膨大な資料です。
(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/03/030428_.html)
それぞれの構成は、ガイドラインでは
・企業不動産の現況
・CRE戦略の導入効果
・社会的な効果と役割
・CREの目的(企業価値向上、不動産法制度対応、経営戦略との関係)
・CRE管理体制の構築(会計基準対応、税制対応、マネジメント要件)
・マネジメントサイクル(初動期、計画、実行、検証、改善)
手引きでは、各ガイドラインに対応した事例や詳細、参考文献や参照資料の紹介を行っています。膨大な資料なので解読には大変な手間が掛かるでしょ う。さらに従来の管理体系とは異なる主張や手法が取り入れられていますので、読解から事業化への応用には専門的な部門の開設と経営戦略への導入が欠かせま せん。本稿では物流不動産の選択や評価に際して、このCRE戦略構築ガイドラインを紹介して参ります。
CRE戦略の最善手法は、企業不動産の効果的な取得ではなく、事業遂行における不動産の利用技法について、述べられていると見て良いでしょう。不 動産の取得はリスクの抱え込みであり、できるだけそのリスクを回避しながら不動産の利用メリットを追究する手法であると言っても過言ではありません。さら に、取得や保有における税制や会計法上の課題を解決し、管理体系を構築する際には情報システムの要件設計まで及んでいます。
経営における不動産の位置づけを明確にすればするほど、従来のようにユーザー部門と経営トップだけのマター(関心事)であった契約や運用は、専門部門の設置が必要になりますが、専任部門の運用費用や専門性を考慮すればアウトソーシングや業務提携の必然もまた登場します。
ともすれば企業経営におけるさらなる複雑性の提案とも受け止められがちですが、事業収益への貢献や不動産の経営資源化をより評価する視点に立つことでは従来にない貴重な資料とも言えるのです。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)