物流不動産ニュース

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CRE戦略の目的 − 第5回 CRE戦略と物流不動産

 企業不動産の取り扱いをCREとした意図には、従来の企業が所有・利用する不動産の方法論を大きく転換させる目的があります。 つまり、不動産バブルの崩壊から低成長時代への移行に伴い、経営戦略そのものの転換が必要でありながら、苦戦している起業家へのエールの意味も含まれま す。不動産バブルでは保有のリスクだけが問題視されましたが、改めて企業の執行できる資産には重要な位置が揺るいでいないのが企業不動産なのです。

 そこで、CRE戦略の究極目的は経営戦略にしっかりと組み込まれて、企業価値の向上に寄与する、貢献させるための手法を選択することが定義づけられました。

 企業価値の多くは、ビジネスモデルそのものにあり、不動産を付加価値生産手段として取り入れるなら、従来型の管財的な管理手法を問われているので す。また、不動産固有の社会的な位置づけにも、景観や環境問題、土壌汚染や施設の耐震偽装問題とも関わっていると言えるでしょう。不動産リスクだけでな く、メリットとして言われているのが、M&Aにおける企業評価のデューデリジェンスに関わる遊休不動産、事業用不動産の時価会計処理です。従来は不動産の 保有が企業価値の「含み益」「含み損」という呼び方で株価に大きな影響を持っていましたが、不動産に関わらずとも何事も時価、事業収益も収益還元法という 現在価値手法で計算するようになると、曖昧で複雑であった不動産のもたらす収益性を適切に管理し、また評価や算定を行う必要があるのです。

 コンプライアンス時代を反映して企業会計の大転換や事業法を巡る不動産の所有や処分についての会計処理や税務報告も大きく変化してきています。

 このように、CRE戦略の目的は
1 M&Aを含む経営戦略の一環としての不動産の保有・所有を位置づける
2 企業価値向上のために重要な経営資源としての不動産を評価する
3 様々な法制度対応や社会的な説明責任(CSR)のために、不動産の周辺情報を明確にする
 3つの大きな目的をセットしているのです。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)