新産業は物流を求めているか − 第2回 新経済成長戦略と物流不動産
景気が戻りつつあるというのは大手上場の、しかも自動車エレクトロニクス業界だけと言える。そこが稼ぎ頭で、波及効果を受けているのが中堅どころ。32業種ではへこみ状況で、株価が1万円を割り込んで戻らない。NY株式は100万円、なぜ100倍か。
利益率そのものが低かった。欧米CEOは年報数億円、日本の社長は数千万円でしかも会社ではなく外部で働く。財界活動や奉仕ばかり、水曜会は毎週 昼ご飯に一日を使っている。企業は何を求めているかが不案内なので、約半分の利益率しか稼げていない。一人当たり付加価値も比べてみれば、日本に低生産性 は驚くほどだ。
そこで我が国はバブル崩壊後に金融機関に深い反省を求めて、ビッグバン以降の新産業の使命を帯びていた。少ない行員で多額のマーチャントバンクが稼ぐはずだった。損保生保も一緒になって、リスクマネジメントを数学と科学で証明してゆくはずだった。
同じ島国のイングランドはセンターコートに英国人審判しか立たなくても、廻りで雇用と観光客が溢れて税が落ちてきた。ロンドンシティもウィンブルドン現象で構わなかったのである。
我が国も島国、ご同様の成功を願って金融立国、金融マーケットに特段のねぎらいと支援を送り、世界最速のディーリングシステムを開発させてきた。
あわよくば読売新聞ドームをもう一度三洋証券風に復活させ、世界一のプラズマディスプレイに株価を照らし出せるはずだったのに。
物流が必要とされているか、量はあるのか、国中を走り回る注文は出てくるのか。
家計消費が貯蓄率と引き換えに減少していれば、小型トラックは店に呼ばれる回数が減る。店が維持できなくなれば、うさんくさい通販業界が一気に信用回復を狙って小売りの筆頭に躍り出るだろう。立地と品そろえはネット通販の方が魅力だからだ。
かくして小売り流通の低落は、ネットと宅配がバックアップを行いながら主従逆転を描いてゆくだろう。生鮮流通は1次2次3次の垣根が取れて、6次産業として小規模流通が独自に花開く。こちらもやはり小型トラック、宅配、郵便でまかなえる忙しさであろう。
新産業は産業インフラだから、工場作りやプラント建設が設備工場が躍起となる。深夜を越えてロボットが作り出すプラントは海岸沿いに新工場を造り、旧型倉庫が立て替えるときには中に工場がそっくり入っている姿に驚くだろう。
荷主と共に成長し、時には荷主を選べる優位性が物流にはあるのだ。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)