おやのこと familism(第40回) 物流マネー70兆円のゆくえ
SDGs(Sustainable Development Goals.)
地球環境に持続可能な開発目標による経営
というものがどういうものなのかは様々な解釈に委ねるとしても、超高齢化社会に突入した日本の経営者にとって、企業の舵取りは同時に自身の親を思わずにはいられないだろう。
独り立ちしてからもなお、孝行を尽くせる幸せを感じる一方で、親の健康やその行く末を案じる悩み事に仕事と家庭の両立がいつまでもつきまとうことになる。高齢者ビジネスに苛立つことや社会福祉制度のぞんざいさに呆れることもあり、自らが作り育ててきた社会と事業のジレンマをまさに当事者として感じることになるだろう。
市場と顧客が高齢化の影響を受けて変化する中で、自らの生活も親に関わることが増えて行くはずだ。自身のことだけでなく親のことで時間を取られることが増えるにつれて、社会の仕組みや不合理に気づくことが多くなる。それはビジネスのチャンスでもあり、足曳かもしれないが、かっての経営者とは格段の環境変化が訪れてきている。
市場の太宗はヤングとファミリー層であったものから、一気に高齢化が進んできており、親の趣向に関心を持たずにはいられない。時代キーワードは<おやのこと>なのである。
どのような家庭に育ち、巣立ち、新たな家庭を築いてきたのか、そして残された親たちはどのような生活を続けてきているのか。そのことが社会ニーズとして俄然注目をあびることになってきているのだ。衣食住の趣向の変化や購買行動はどうか、流行の兆しにはどんな変化が起きているのか。
何よりも販売・購買決定や行動の速度が緩慢になってきているはずなのだ。交通機関の運行ダイヤすらすでに遅延が当たり前となり、店舗ではレジ前の決済に手間がかかるようになっている。
インターネットの通信環境が遅い、ゆるいと文句を聞きながら、社会全体は一気にスローダウンを始めていることに気づいているだろうか。
販売のスピードや情報伝達の速さが魅力ではなくなり、よりていねいな説明やわかり易さが求められていることに気づくか。
品揃えの多さが圧倒感によって躊躇をもたらし、混雑が恐怖やいらだちの原因となることを知らなければならない。
何よりビジネスの原点が親の様子から知り得ることができるのは、子としても有り難いが、未熟さが命取りとなるような気がしているのは、私だけだろうか。
<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>