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政権交代によるデフレ対策 − 第1回 経済政策用語解説

 再び自民党政権が復帰することになりました。3年前の退場宣言から、指名代打の民主党に期待が高まったが、空振り三振で順当打席に戻ったという感じですね。
 政権交代劇の背景には、長引く不況とデフレがありましたが、民主党の宣伝材料だった「無駄をなくせば、借金も返せるし、増税しないでも国は豊かになる」という政策の夢物語には何の根拠も実現性もなかったことが証明されたのです。

 でも、そんな理想論が飛び出してきたのは戦後55年体制での、自民党政権下における最終的には『弱肉強食』『資本家の優位』『増税搾取』『自己責任』という構造への国民大批判があったわけでした。

 再び返り咲きした安倍総理大臣は、経済政策として今まで以上の強硬論を打ち出そうとしています。何となく今までにも聞いてきたような事も含まれるし、その時効果が無かったのに、これからは有力な政策だというには訳がありそうです。
 少していねいに解説してゆきたいと思います。

●デフレ状態の原因は何だったのか?

 1997年をピークにして約500兆円の名目GDPは徐々に低下を続けています。その原因がバブル以降のデフレが原因だというのですが、それは本当でしょうか?
 デフレ状態とは、インフレの反対語で普通は「長期にわたる所得と物価の連続的な低下」ということを示しています。つまり、給料が減ってしかも物価も下がっているので、購買量が減って、消費支出が減る、という両面が同時に進行していることを表します。
 経済成長をGDPの伸び率で言うならば、伸び率の低下はデフレ以外の原因では、一昨年の東日本大震災のような大規模災害や事故による「生産と消費の停止」がありますので、こちらもGNP低下が両面で発生したと言えるでしょう。

 災害復興は徐々にではありますけれども、破壊された住宅やインフラは着工が始まり、失われた施設は再開発が始まっています。自粛ムードも回復して、国民生活での旅行や外食への躊躇は止まったとも言われています。では、15年以上の続いている成長低下の原因、デフレの原因はどこにあったのでしょうか。
 
●経済成長の理論とは?
 
 経済理論では歴史の研究から、成長と停滞、低下はサイクルを描いていると分析しました。景気は循環するというものです、短いサイクルでは3年、長期では50年周期が過去の経験にあると言われています。ただし、これは世界各国の先進国、後進国に分類した経済モデルの大前提があります。それは、経済は人口増加と生産量の増加という、生物の成長と同じように国家も経済もだんだん大きくなるものだ、という暗黙の前提があるのです。後進国は貧困から始まり、徐々に国富を高めてゆきます。先進国は成長率の変化はありながらも、やはり成長するものだ、ということなのです。
 人口と生産量は徐々に高まるものだ、ただ様々な原因があって、成長にはサイクルが認められた、これを成長論というのです。
 我が国のように人口が減り始めて、生産労働人口の高齢化が起きている事態では、経済成長理論は当てはめることができないのです。

●歴史に見る経済政策とは?
アメリカの大恐慌を脱出したニューディール政策、日本やアジアのバブル景気を引き起こした金融緩和、ヨーロッパでの社会的不平等を解決するための福祉国家的な増税を含む財政出動、様々な経済政策が成功してきましたが、日本においてはなぜかこの20年間は失敗続きなのです。

 デフレ対策、経済成長、不況からの脱出には、今までの経験と歴史を振り返って、現代が迎えてしまった前提条件を振り返る必要があるわけです。徐々にひも解いてゆきましょう。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)