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農業の流通問題(その2) − 第3回 大きく変わる業種・産業界

B 農業をビジネスモデルにする方法

 農業マーケットは農水省報告で8兆3000億円とあります。アベノミクス日本再興戦略では、農業部門の規模を10兆円、輸出を1兆円まで拡大する方針を打ち出しています。更にコメ価格を4割下げて、食品の国内安定供給を図ろうとしているのです。
 農業生産者が小規模零細に頼っている以上、規模の拡大を図るには強力な打ち手が必要で、そのために農業法人=株式会社に農地所有を認める、という方針を出しました。
 カゴメはケチャップやトマトジュース生産のために、契約農家を膨大な数で押さえています。カルビーもじゃがいも農家を大規模栽培に向けて事業化が完了しています。全国農業地域別農業産出額及び生産農業所得

 毎年初夏になるとお中元商品が話題にあがりますが、北海道夕張メロンもその代表作です。今年は2玉160万円の最高値が付きました。青森大間のクロマグロが3億円でしたけど、生鮮食品の話題に事欠かない日本の風物詩です。
 鮮度、味、風味、価格のバランスは日本文化の象徴として海外のニュースでも取り上げられますから、農業もジャパンブランドとして通用する可能性は十分にあります。
 しかも、鮮度を考慮すれば複雑な流通構造を経て出荷するよりも、6次産業化による直販が有利であることは確実です。
 そこで、農業のビジネスモデルはカゴメやカルビーのような大規模安定供給の仕組み作りとメロン、もも、ナシ、ぶどうなどの果物野菜のブランド化に今後の期待が高まります。

 TPP交渉開始によって農業の危機が叫ばれていますが、かつての食糧管理制度米穀配給通帳がその役目を終えているように、農業の競争力を高める仕組みにビジネスモデル化があげられるでしょう。
 現在の問題意識は、関税自由化による海外産品の低価格競争に勝てない、という自覚と複雑な流通構造にあります。けれども、農業法人化と産品のブランド化、高品質安定供給のしくみと流通構造の改革によって、十分な競争力と必ずしも価格にとらわれない市場性を確保することが可能と思われます。TPPの背景

 コメの生産も規模を拡大すれば、タテに長い国土のせいで2~3毛作も実現していますし、広く世界を視野にすれば、季節が逆転するのを捉えて南半球に向けて日本からオレンジやキウイを輸出して、勝負を賭けている農家も登場しています。
 野菜の選別問題でも世界の常識と日本規格には、大きな隔たりがありますから、小さな林檎、長すぎる長芋など、まだまだ開拓する余地も十分にあるのです。
 このようなマーケティングセンスと流通をより短縮する、インターネット商談を促進する、物流と販売の一体化を企画できるビジネスモデルの登場が必要であるし、また余地が残されていると言えるでしょう。
 すでに9兆円、更に10%を拡大するための農水政策が徐々に打ち出されるはずです。十分にウォッチしておく必要がありますし、ビジネスチャンスも大いに存在すると言えるでしょう。