物流不動産ニュース

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物流IT革命 - 第7回 物流改革大全

現代は感性革命の最中にあると言われています。「カワイイ」商品が予想を越えて売れ始め、「ヤバイ~~」と全世界に波及して、ある日突然「キモい、ダサい」と姿を消してゆきます。
このような流行を作り出すにはSNSという口コミが有効なのだ、と心理戦とITツールがタッグを組む時代です。産業革命、情報革命、そして心理戦がマーケティングを左右するような時代とは、企業価値や利益の源泉が従来の延長線上では考えられない偶然の産物になるということなのでしょうか。

物流活動は量の科学でした。たくさんの物を正確にこなしてゆくには、生産性という時間が必要でした。高速と精度は相反する矛盾の塊であったのが、バーコードとスキャナというITツールで解消されました。ITとは、矛盾解決の手段なのです。距離や時間を超越したのがインターネットであり、収穫低減の法則を笑い飛ばしたのがデジタルコピーでした。その結果、フリー:無料というサービスや商品が登場して、オプションという付帯サービスや追加料金だけでガッチリ儲けられるビジネスモデルも出現したのです。
矛盾を強く意識して、徹底的に究めることで発明が生まれたのです。「必要が発明の母」であることに変わりはなく、溢れる情報の中から矛盾と対立を定義した者がITによって勝利を得る時代になっているのです。

ITはヒトが感じる矛盾を解決するために商品化されています。技術の進化が連続的に波及して、新サービスが生まれているわけではありません。コンピュータは素晴らしい性能を発揮しますが、人手でできることの延長にあります。高速、正確、ネットワーク、記憶、検索はヒトの能力を高めれば可能なのです。
IT革命は、「矛盾発見、問題点定義革命」という性格があるのです。世の中や会社の仕事がこんなものだ、と思うところには進化は生れません。もっとという欲ではなく、洗練の追求が新しい技術を発見し、組み合わさえて発明が生まれるのです。
経営や生産・販売・営業活動にも様々なITが導入されつつありますが、きっかけは矛盾の発見に過ぎない、という視点を持てば現在のITには共通点があるのです。
<もっと、より、正しく、美しく>という、真理、善、美という思想を正しく持ち続けた成果とも言えるでしょう。

IT革命が物流の現場に浸透し始めてまだ、20年あまりです。これからもっと進化するでしょう。けれども、噂のロボットが人手に変わることは絶対にないでしょう。すべての物流工程が全自動化されることもありません。それは、製造工程の話題なのです。
物流は最終工程、つまりは顧客との距離が最も近く、顧客の心理はつねに揺れているからです。
安い、軽い、便利、もっと、前よりも~というニーズや欲望にとどまることはなく、だから物流工程にも安定はありえないのです。
IT革命が現場を変えることは確実でしょう、けれども進化や変化のスピードがますます早まることも確実なのです。
導入したITツールは異業種の進出によって、すぐさま陳腐化することでしょう。圧倒的な優位性を長く保つことは不可能なのです。乗り換え、買い替え、入れ替えが必要なのは、ツールの宿命だからです。
誰よりも早く新しいツールを手にするのは、目の前にある問題や矛盾をいち早く定義つける問題認識能力であること、これがIT革命の本質であることを再確認しておきたいものです。

 (イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵)