化石の三年間 − 第12回 物流不動産営業12の心得
高校3年間が輝かしい青春の想い出であるように、3年間は十分すぎるほどの長さがある。仕事を始めた3年間は修行の時間ではなく、積み上げの時間だ。一 つひとつの事件や出来事を過去の記録としてはいけない。輝かしい助走期間であり、沈み込んだ腰ダメの時間でもある。自分の3年を化石にして想い出としては いけない。
経験とは失敗の歴史である、と故人は言った。経験を積まねば成功はおぼつかないという、できることなら失敗を避けて通りたいが、失敗を通じてでしか学べ ない機敏もある。営業活動は心理戦であり、感情の対立であることを思えば、過去の事例はほとんど何の役にも立たない。失敗の歴史が役に立つことはなく、そ の意味では経験は疑問符のモノである。
女神と対峙して、何を説明するか、何を聞き出すか、対話に応じた提案ができるかどうかは経験では済まない。全知を掛けた商談こそが成功の道であり、化石の経験などは全く役に立つはずもないから、今に生きるしかないのだ。
繰り返す、営業活動とは心理戦であり、相対値であり、ガチンコでありながらメタ認識の空中戦であることを銘じて欲しい。一挙手一投足をもう一人の自分が上空から観察していることを意識して、次の発話を心がけて欲しい。
営業こそ企業にとっての心臓であり、活力の源であるのだから休むことは許されない。
<今期終了、来月より新シリーズ『クライシスマネジメントを物流で』をお届けします>
(イーソーコ総合研究・主席コンサルタント・花房陵)