2011/3/11に起きたこと − 第1回 クライシスマネジメントと物流対策
21世紀の第2DECADEが始まって起きた大惨事は、歴史上の共通点があった。
アメリカで起きた同時多発テロ、ヨーロッパの火山大噴火。アジアから広まった鳥インフルエンザや狂牛病などのウィルスパンデミック。史上まれに見る大企業の不祥事と株式市場や金融業界の大破綻。まるで悲劇のオンパレードが続く中での日本の地震災害だった。
火山と活断層に立つ我が国に地震は付き物だったが、地球史上4番目の規模は東北地方を完全に飲み込んでしまった。TUNAMIは日本の過去災害で明らか になり、辞書に英語表記されている。世界はもっと自然に虐められており、自然の驚異を「想定予想」することなど無力だった。
地震、津波、それによる原子力発電所4基の同時損壊が狭い国土を一気に暗黒世界に引き戻そうとしている。救急救命がまだ終わらない、80日が過ぎようと している今も救済活動も進行中で、とうてい復旧復興まで至っていない。状況把握や分析もまだまだで、被害の全貌や影響のすべてを誰も理解していない。政府 も未だに混乱を続けており、すわ内閣総辞職の危機さえ含んでいるのが今日の実態である。
天災を難なく乗り越えることなど人類には術がない。防災には限界があり、万全の技術はどこにもないのが現実だ。それでも我らは生き延びなければならず、命の連鎖を続けなければならない。生き残った者は失われた魂を心に刻み、明日の道を進まなければならない。
企業活動は残された資源によって復活を目指さなければならない。どうすれば被害を押さえ込むことができたのか、次に来るさらなる災害にはどのように備えておかねばならないか、常に準備を怠ってはならないのだ。
今回の災害を振り返るには余りにも規模が大きく、人命の救済が終わっていない段階では断定を避けねばならない。明らかなことは大規模損失が起きたこと、 住居も生産も根こそぎ流された地域が広域に及んだことから、道路も鉄道も物流施設も完全に破壊されてしまったことだ。企業活動の人モノ資金情報という基本 資源が100%失われた地域と産業がある。
全くゼロとなった時に、人はどうやって再生してゆくか。被災率が9割の場合にはどうなのか、と見てゆくと従来の災害対策では全く不十分であったことが判明した。
火災対策、地震対策、事故対策、・・・・・企業はゴーイングコンサーンという継続性、サステナビリティを信条として、阻害対策だけを志向してきた。阻害でなく全滅が起きていたのが今回の特異性なのだ。
企業活動の資源損壊率が100%、80%、50%、30%、0%というのが、BCP
(企業継続計画)のモデルになるだろう。被災率に応じたケースA~Dそれぞれの対策が、次に備える発想の原点としておきたい。
工場施設が、従業員就業率が、情報システム機関が、そして経営陣そのものがどれほど失われたことなのか、3/11を思うと絶望するばかりである。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)