特需となった物流不動産が巻き起こすイノベーション 
日本物流不動産評価機構(JALPA)推進委員会
河田榮司委員長
特需となった物流不動産が巻き起こすイノベーション
--第14回JALPAセミナーは初となる、会場とオンラインのハイブリッド開催となる。
河田 コロナウイルスの影響でイレギュラーな形での開催となるが、中身の濃い講演を企画した。特に今回のセミナーは期待していただきたい。
最近、多くの方から異口同音に、物流不動産に関する投資が非常に堅調であることを言われる。リート市場は安定して不動産に流れてきたが、コロナ後にECの激増による商流が変わる中、特に物流不動産市場の振り幅は大きい。
コロナで何が起きたのか。全米REIT協会(NAREIT)の「賃料徴収率」調べでは、物流99%、住宅93%、オフィス89%、商業施設が大幅に減って46%となった。オフィスはテレワークからリモートオフィスが進み、商業施設は半分以上が賃料を取れていない結果が浮き彫りとなった。住宅は健闘しているが、高級住宅は売れなくなった今、上がっていく状況ではないだろう。
そこで投資家、不動産会社、EC事業者、物流業者から注目を集めるのが物流不動産だ。賃料徴収率に全く減少がなく、100%に限りなく近く賃料がとれている状況で強さが際立っている。
7月10日の東京市場でリート時価総額トップがオフィス型の日本ビルファンド投資法人から、日本プロロジスリート投資法人が一時的に上回った。自動車セクターで、米テスラがトヨタ自動車の時価総額を上回ったことと同じ構造変化がREIT業界で起きているのだ。
物流不動産は株価もリートも変化がなく、賃料も下がっていない。「物流だけは特別にいい」と不動産会社は口を揃えて言っている。
--物流不動産は投資市場でどのように変わったのか。
河田 極めて別格となる安定市場となった。物流不動産はECの伸びとの関係が非常に深い。経済産業省発表の「日本のBtoC-EC市場規模の推移」では、ここ数年6%台の伸びを見せてきたが、現在のウイズコロナで2~3年分の伸びが一気に拡大した。EC物流センターに保管されていた物量は拡大、スペースを増やしてきたが、ここにきて在庫が不足してきた。最近は欠品を起こすことも多い。物流施設の拡大と共に在庫率のアップも必要となってきた。
店舗の面積と比べ、EC物流センターでは保管スペースに3倍必要と言われる。EC拡大の相乗効果として求められるのが物流不動産だ。コロナによるEC向け物流施設の需要は急上昇となった。
CBRE発表の2020年度第2四半期「ロジスティクスマーケットレビュー」によると、首都圏の空室率は0.6%を維持、外環道では空室率0%、国道16号線は0.2%、圏央道は新たに竣工した施設があったため1.3%、東京ベイエリアでは1.7%とおしなべて1%を切るようになった。完成した物流不動産は、全てテナントが決定している状況だ。EC需要から、物流不動産を建てればテナントで埋まる。物流不動産の底堅さは、不動産業で周知されるようになった。
今回のセミナーは、コロナで急激な成長となったECの屋台骨となる物流市場拡大がテーマだ。
--各セミナーの見どころを。
河田 基調講演の国土交通省総合政策局 阿部竜矢課長は、来年新たに策定される総合物流施策大綱に触れられ、新しい物流のあり方としてECと物流について言及される。BtoCから生まれた物流不動産需要についての政策を伺える。
基調講演2題目は、日本政策投資銀行 須釜洋介企画調査課長より、物流はどう変わってきたのかなど、投資を軸足とした講演。地方を含めた事例も聴くことができるため、非常に興味深い内容だ。
続いての講演は、物流不動産市場を牽引している日本GLPの帖佐義之社長が登壇。ポストコロナの物流不動産マーケット予測など、最前線から貴重な話を聞くことができる。GLPでは創造連鎖する物流プラットフォームのブランド「ALFALINK」を掲げる。千葉・流山、神奈川・相模原に開発中の大型施設の進捗状況や戦略など、さまざまな角度からご講演いただく。
また、三菱UFJ銀行 企業審査部 加藤雄一調査役は、物流不動産に融資のための審査を行っている。物流不動産が優良資産となるのか、肌で感じている方からの講演も聴くことができる。
間違いなく、現在の物流不動産市場は特需となってきた。物流不動産がどのようなイノベーションを巻き起こすのか――。今回のセミナーでそのヒントを得ることができるだろう。
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日本物流不動産評価機構(JALPA)推進協議会主催
第14回セミナー
ポストコロナの時代、拡大する物流不動産のニューノーマル
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