倉庫業青年経営者協議会 醍醐 正明会長 − キーマンに聞く 第25回 
倉庫会社の若手経営者による全国組織、倉庫業青年経営者協議会(倉青協)――。会員同士のオープンな課題共有や関係省庁との緊密な連携、東日本大震災後 の迅速な人的支援活動など物流関係団体の中でもひときわ積極的な活動が目を引く。6月8日の総会で、第19代会長に就任した醍醐正明会長(醍醐倉庫)は任 期期間となる2011―12年度、2年間の活動方針として「Action for next stage!」を掲げ、新たなステージに向けた倉青協の歴史 へと一歩を踏み出した。
13年に創立40周年を迎える倉青協の醍醐会長にインタビューした。
この2年間は「Action for next stage!」で進めていくと倉青協の醍醐会長。
――倉青協の概要は。
38年前、オーナー系中小倉庫会社の50歳以下の若手メンバーで設立された全国組織。それまで、若手同士が一同に会する機会があまりなかったと聞いてい る。中小の倉庫会社の経営者は、若い時分にどうしても自分の会社以外のことが分かりにくい。若手同士の意見交換、情報交換の場が必要だった。設立から現在 にいたるまで、国土交通省(旧運輸省)、日本倉庫協会との緊密な連携の下、業界の活性化に向けた活動を展開している。
――倉庫業界の事業環境は。
リーマン・ショック以降、やや持ち直しつつあったが、東日本大震災の影響で荷動きが悪化。従来の仕事のやり方を変えたり、新規荷主の開拓が必要になって いる。また、物流不動産ファンドの大型物流施設の開発が進み、賃貸用倉庫の供給過剰と競合もみられる。東日本大震災では倉青協の多くの会員が被災し、福島 第1原子力発電所の問題も予断を許さない状況で、未曾有(みぞう)の困難を乗り越えなければならない。
――今年度の活動計画は。
6月の総会、春と秋の全体会のほかに、「企業交流会」を2回開催予定。企業交流会は、会員倉庫会社の社員の参加も目的とした交流会。一時中断していた が、今年度から復活させる。倉庫会社の社員のほとんどは自社の倉庫しか知らないので、外に出て他社の倉庫をみる機会は刺激になる。また、会員同士で協業す る場合にも、トップ同士だけでなく社員も知り合いだとスムーズにいく。
――企業交流会の具体的イメージは。
2回のうち1回は同業者の倉庫見学を計画している。今回は、ある分野に特化した倉庫に着目。8月に会員のオーティーエス(田中優一郎社長、東京都江戸川 区)のアパレル・ジュエリーに特化し、「差別化」でなく「独自化」にこだわった倉庫を見学する。2回目は、同業者の事例にこだわらない勉強会を予定し、事 前にそのテーマについて宿題を出し、勉強した上で参加してもらうことを検討している。
――会員の増強を図っている。
7月現在で、会員数は105人。せっかくの全国ネットワークだが空白県が19県あり、会員の増強が課題となっている。「会員をただ増やせばいい」という わけではないが、ある程度の会員数がいないと組織として活気を失う。倉青協は同世代の倉庫経営者(経営幹部候補)が全国から集まり、同じ立場だからこそ課 題を共有できるのが強み。営業倉庫を営むオーナー系若手経営者の参加を募りたい。
――被災地支援も継続する。
浅野邦彦前会長(浅野運輸倉庫)は被災した会員の生の声を聞き、「現地でどんな支援が必要とされているか」を判断し、会員に呼び掛けて人的支援を行っ た。こうした緊急時にも、お互いに直接話して、信頼関係の下で適切・迅速に対応を行えるのが倉青協のネットワークの強みだと改めて感じた。原発問題の長期 化が予想される中、8月には福島県の会員の支援を計画。われわれにできることを行い、一緒に復旧を見守りたい。
――今後の倉青協の在り方について。
倉青協は「勉強と親睦」を会の基本方針として掲げてきたが、親睦に偏りすぎるとネットワークの強化につながらない。「倉青協に参加してよかった」と言っ てもらえるような場を提供しなければならない。国交省に対しても業界の生の声を真摯に伝えることで、それが施策に反映されることになる。倉青協がこうした 存在感を発揮することで、倉庫業界全体の活性化にもつながるのではないか。