進まないモーダルシフト▼「運ぶ荷物がない」 
2012年12月19日 【物流ウィークリーhttp://www.weekly-net.co.jp/】
国交省が11月21日、「モーダルシフト等推進事業」(補助事業)として認定したのは、三幸モーダルシフト協議会やPG協議会、塩ビパイプ輸送モーダルシフト推進協議会など6団体。うち五つが鉄道転換で一つが海上転換となっている。モーダルシフトの中では鉄道人気が高いが、国内輸送全体を見ると、トラックから鉄道へシフトしているとは言えないのが現状だろう。
モーダルシフトが注目を集め出したのは1990年代。渋滞緩和や環境対策、省エネ、交通事故防止などのメリットを期待してのものだ。しかし、現状の国内輸送ではトラック輸送が92%(トンベース)で鉄道は1%にとどまっている。国交省のモーダルシフト等推進官民協議会は課題として、「潜在的なモーダルシフト可能貨物量の低さ」を挙げ、「モーダルシフトで運ぶ荷物がない」という現状が明らかになった。
同協議会が昨年公表したアンケート結果によると、「トラック輸送から鉄道を利用(検討)する可能性のある貨物量は(アンケートに答えた荷主企業)全体で37.8万トン。業種ごとに年間のトラック輸送量との割合を見ると、製造業(その他機械関連)が 1.24%であるほかは1%未満で、低水準にとどまっている」としている。モーダルシフトを進めても、運ぶ荷物が全体の1%未満というのでは、トラックから鉄道への移行は望めない。
また、モーダルシフトできない理由は、「出荷量の急な増減に対応できない」(44.4%)、「輸送コストが高い」(39.7%)、「5トンや10トンなどの輸送ロットに適合しづらい」(27%)、「輸送力を確保しづらい」(19%)、「輸送障害時における対応が悪い」(同)など。同協議会では「輸送距離が短い場合はトラック輸送よりも割高」「駅などでの積み替えの発生によるリードタイムの長期化」なども課題としている。
国交省の「国内貨物輸送の動向」(平成18年)を見ると、「平成元年からの輸送機関分担率の推移は、トンベースでは自動車、鉄道、内航海運の相互間で分担率に大きな変化はない。また、トンキロベースでは内航海運のシェア減少も近年大きくなってきており、営業用、自家用を合わせた自動車輸送のシェア拡大が顕著」としている。