物流不動産の歴史-3 
(二)物流施設管理、コンサルティング
物流施設のプロパティマネジメントを推進する幸洋コーポレーション
幸洋コーポレーションは事業系土地・建物の有効活用についてはパイオニア的な存在で、首都圏で七〇〇物件、約四五万㎡の管理、サブリースの実績がある。
幸洋コーポレーションは倉庫を有効活用するためのコンサルティング事業を積極的に展開している。商業施設や物流施設の資産の運用や管理を行うプロパティマネジメント(不動産管理)には実績と信用がある。物流施設の収益性の査定、テナント誘致、他施設への転用や流動化などのコンサルティング事業などに関する長年のノウハウもある。
物流施設のデザイン、ロケーション、テナントクレジット、施設の収益性などを査定する「デューデリジェンス」やテナントを誘致する「テナントリーシング」、設計段階でランニングコストやメンテナンスコストを分析する「ファシリティマネジメント」(施設管理)まどは、これまで物流業界、倉庫業会ではほとんど重視されることはなかった。
また競争力のない物流施設をオフィスビルやショッピング施設、アミューズメント施設に転用したり、売却したりすることもほとんど行われていなかった。
「そうした考え方は物流戦略の正道ではないと考えられていた。だがノンアセット型の3PL企業などの躍進もあり、物流施設の大型化と賃貸化が進んでいる。メンテナンスコストが安く、しかも安定した賃料を確保できる物流施設は資産運用に好都合のツールとして注目が高まっている。さらにいえば物流ファンドを組むという選択肢もある」。
幸洋コーポレーションの部長でウエアハウスアナリストの杉山実氏はこのように語っている。
プロロジスの物流施設戦略
米国は不動産大手のプロロジスなどがすでに物流施設を資金運用のメーンツールとして重視、物流施設の証券化にも取り組んでいる。
米国の不動産企業プロロジすは世界最大規模の物流施設ネットワークと物流施設サービスをワールドワイドで展開している。これまでに米国内外に一七〇〇カ所以上、合計二〇〇〇万㎡をこえる物流施設の運営・開発を行っている。
日本でも「プロロジス・パーク新砂」をはじめ、「プロロジス・パーク東京」、「プロロジス・パーク成田」、「プロロジス・パーク大阪」などの敷地面積一万〜五万㎡、延床面積四万㎡以上の大型物流施設で知られている。
プロロジスの物流開発はBTS(ビルド・トゥ・スー)によって行われている。
BTSとは物流施設のユーザーのニーズに対応して、「ユーザーの希望する立地・設備の専用物流施設をプロロジスが建設・運営し、ユーザーに賃貸する」というものである。
言い換えれば、物流施設をオーダーメイドによって物流企業に提供するというわけである。しかも立地選定のコンサルティングから施設設計、施工マネジメントまで物流施設建設の緻密なノウハウを持ち合わせている。またマルチ・ユーザー対応の「マルチテナント型開発」も行っている。
マルチテナント型開発とは世界規模の拠点展開で物流施設を提供するプロロジスがマーケティングリサーチから設計、施工、運営までを総合的に手掛ける高水準な物流施設の開発システムである幅広いユーザーが高度のロジスティクス機能を共有するベースとなる物流インフラをプロロジスが提供するのである。
プロロジスの物流施設は、フェデックス、UPSなどの米国の大手物流企業はもちろんのこと、エクセル、TNT、ダンザスなどの欧州企業、さらには日本通運やヤマトロジスティクスなどの日本の物流企業なども3PLのより一層の展開を視野に入れての活用に乗り出している。