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「物流を制する者が業界を制する」——国交副大臣と語る現場改革の真実 

2026年09月14日

意見交換会の様子

トラボックスは10日、国土交通副大臣の佐々木紀氏を招いた完全クローズドの意見交換会「トラック新時代の現場を語る」を開催した。会場には北海道から九州まで全国の運送事業者10社が駆けつけ。多重下請け構造や価格転嫁の壁、燃料・車両コストの高騰、外国人就労問題などについて、約2時間にわたり現場の本音をぶつけ合う熱い議論が交わされた。

進行を務めたトラボックスの皆川社長は、「公の場では語りにくい業界の不都合な真実や切実な窮状を抽出し、データだけでは見えない市場の動態を政策に反映させる」と会の狙いを説明。佐々木副大臣も、物流を「我が国経済の屋台骨であり血液」と位置づけ、深刻な人手不足の中で「物流を制する会社が業界を制する」という共通認識が他産業の経営者にも広がっていると強調した。

◆多重下請けと適正運賃の行方
最初の議題である多重下請け構造について、事業者からは「水屋が何重にも入り、3次・4次請けになると現場の運賃が削られる」との声が上がった。佐々木副大臣は、改正物流効率化法における「2次受け努力義務」の目的が、実際に荷物を運ぶドライバーの所得向上にあると説明。建設業における「建設キャリアアップシステム」や「標準労務費」の制度を引き合いに出し、トラック業界でも運行実績や単価の見える化が進むことへの期待を示した。

◆価格転嫁の壁と悪質業者の淘汰
最も白熱したのは価格転嫁とダンピング問題だった。「適正な値上げ交渉を行うと荷主に他社へ乗り換えられる」「帰り便の過度なダンピング(18万円の相場に対し12万円で受託など)が相場全体を破壊している」といった窮状が次々と告発された。

これに対し佐々木副大臣は、トラック業界のコスト転嫁率が全産業中最悪レベルの34%にとどまる現状への強い危機感を表明。トラック物流Gメンや適正原価の示達を活用するとともに、2030年からの5年ごとの事業免許更新制の導入に言及した。更新審査において実運送やダンピングの有無を厳しくチェックし、悪質な事業者の淘汰と過当競争の抑止を進める見通しを示した。

◆車両維持費の高騰と車検見直し
現場を直撃するコスト負担も切実だ。フェリー代や燃料高、トラック本体価格の上昇に加え、高度電子化による整備費の増大が報告され、「日常的に3ヶ月点検を実施しているため、現在の毎年車検を2年に1回に見直してほしい」という具体的な要望も飛び出した。佐々木副大臣は車両性能の向上に応じた制度見直しの必要性を認め、補助金の活用を促しつつ、現場の声をまとめた政策提言として行政に届けてほしいと呼びかけた。

◆魅力ある物流業界への変革
人手不足問題における外国人採用については、初期費用負担や手続きの煩雑さが課題として指摘された。副大臣は外国人を「重要なパートナー」と位置づけつつ、日本の若者にも「物流の誇りや魅力」を発信する官民一体の取り組みが不可欠だと強調。タクシー業界がアプリ配車の普及で若手から人気を集めている成功事例を挙げ、テクノロジー導入による業界変革の可能性を示唆した。

会の締めくくりに佐々木副大臣は、社会保険加入や車両管理などのルールを遵守し、Gマークを取得するような真面目な事業者が正当に評価・優遇されるインセンティブ設計を強化する方針を明言。「制度にしっかり魂を入れ、実効性のあるものに育てる」と力を込めた。皆川社長も「現場の声を感情論で終わらせず、プラットフォームを活用してデータ化し、行政の意思決定を支えていく」と総括し、意見交換会は幕を閉じた。

佐々木副大臣