物流不動産ニュース

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世代交代による資産のゆくえ Assets(第5回) 物流マネー70兆円のゆくえ

2017年第1四半期、日本の個人家計資産が1,800兆円を越え、法人資産も過去最高の1,150兆円になったというニュースがあった。不景気なのにずいぶんいい話である。給与や賃金が上昇していないのに、なぜこんなことが起きるのかが不思議であろう。

今の日本では家計の主役はシニア世帯に移っているからだ。退職金や定期生命保険金の受取が始まり、生活資金はさほど必要としていないために預金や証券に向けられている。教育資金や住宅資金がほとんど完了すれば、毎月の家計はかなり楽になる。

しかも退職金という過去の積立金や保険の満期を迎えれば、自ずと親世代はお金持ちの仲間入りを果たしていると言うわけだ。超高齢化社会は更に進み、2025年には人口の最大ボリュームを占めていた団塊世代が後期高齢者の仲間入りを果たす。すると生活資金が医療介護への支出超過になることは明らかである。
 
ファミリー世帯の消費行動が目立たなくなり、スーパーや百貨店の売上が徐々に低下しているのは、品揃えが家族向けになっているからだと気づかないようだ。前回証明したように消費活動は家計と企業も同時に起きている。自家用車とトラックはいずれも車両支出であり、個人も企業も必要としている。

所得、収入が消費や経費をまかないながら、残りは貯蓄となり、企業は資本となる。資本とは資本金と決算ごとの剰余金を表し、企業会計では資本金と利益が合わさって資本となる。

企業試算が1150兆円にも上っているのは、このように資本超過の状態にあるというこことだ。

個人の貯蓄は預金と株式投資や債券などの証券に預け変わる。株式証券は別の企業の資本金となり、設備や資産に変わる。企業の資本も預金と証券であり、同じく別の企業の設備や資産に変わる。

企業が持つ資産の代表は不動産であり、日本の不動産時価総額2300兆円のうち国有地が470兆円、民間企業が保有するのもが490兆円が存在している。これらが企業の設備や資産の代表であるわけだ。

すると、前回の公式から家計も企業も消費以外の貯蓄と投資はその殆どが不動産などの資産に生まれ変わっていることが分かるだろう。しかも、新しい工場や巨大な商業施設、ビジネスタワーと同様に巨大な物流施設が続々と開発さていることから、我らの貯金は倉庫に生まれ変わっていると断言しても間違えではないのだ。

世代交代により巨額な個人資産が積み上がっているが、それは物流施設にも向けられていることを知るべきなのだ。

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>