物流不動産ニュース

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お金を増やす天才たち − 第9回 物流不動産のにぎやかな人たち

 古来金もうけの秘訣は、感謝して貰う、だまして盗む、天から授かる、3つしかありません。授かるとは、農林水産漁業から始まり新素材や技術、時の運までを指します。

 不動産という重厚長大な資産を利用した金もうけは、長期巨額余裕資金でしか運用できませんでした。ここに不動産の固定化、所有の集中と偏在、遊休化の問題がありました。とはいえ、ゼイタクな悩みと羨望が根底にありましたから、中間層にはほとんど関心が薄くて具体的な政策やビジネスモデルへの要望も少なかったように思います。

 規制緩和のブームの一環と土地バブル崩壊の結果、少なくとも所有の集中と偏在を解消しようという政策が効力を発揮し始めて、不動産の流動化というか流通取引の活性化が図られるようになりました。(短期売買には懲罰的な税制を残したままの政策ではありましたが)不動産は寿司屋のように「時価」で勝負でした。1点限りの骨董品オークションのようなせり上げ価格で決まるような特殊な商品でもあり、経年変化のように利用価値が下がるという減価償却も認められない、極めて例外的な扱いを受けながらの方翼飛行の開始でした。

 資金提供者、建設開発業者、利用者という3権分立により新型物流施設が活発に提供されるにつれ、結局誰が最も得したかは明らかでした。

 旧来の産業分類で言う金融、建設、物流では、利益率経営と経営戦略という知識経営者の多さや学卒割合の比較がそのまま業績に比例しています。つまり、文書化文化を持った企業の方が利益率が高い、という単純な事実ですがその理由もまた当然で、経験と勘よりはマーケティングや科学に根付いた意思決定の方が失敗リスクが低い、当然でしょう。

 そこで、金もうけには非凡の才能が十分に活かされてきた訳なのです。金融工学はすでにノーベル賞をもらえるほどに町中にとけ込んでいましたが、無記名の資金を集めてファンドを構成して、利回りの安定確実な倉庫賃貸に運用することを考えついた人、・・・・・・。

 通勤電車の車窓から市制に働く生活から、「税金」制度を考えつくような国税職員も陰では天才と呼ばれるように、天というか生活者や企業家の日常からお金の計算をきちんと考え、文書化して企画書にまとめ、経営方針として承認を受けて多くの賛同者に広げてゆく姿は、がりがり亡者や冷血とさげすまされる昔の金もうけとは一線を画してきたわけです。

 どん欲さは7つの大罪として天から禁じられてはいましたが、リスクとリターンの計算高さは優秀さとあがめられて、物流不動産の開発ラッシュに湧いたのです。役に応じた報酬基準では、金融家に一番を取られても仕方のないことでした。知恵でかせぐのは、簡単にはまねできないものですね。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)